ドナルド・トランプ元大統領の公式ミームトークン「TRUMP」が、メラニア・トランプの新ミームトークン「MELANIA」の発表を受けて価値を40%以上失った。TRUMPは日曜の朝に72ドルで取引されていたが、同日の夕方には39ドル以下に下落。この急落により、時価総額は60億ドル減少し、ミームコイン市場の地位も低下した。一方、MELANIAトークンはSolana基盤で3時間以内に120億ドルの評価額を達成したものの、トークン供給の大部分が少数のウォレットに集中するなど不透明な運営が指摘されている。専門家は両トークンの開発チームが独立している点に着目し、不十分なセキュリティ対策や運営の不透明性が詐欺行為の可能性を示唆している。暗号通貨市場に新たな混乱をもたらすこの展開は、多くの投資家に警鐘を鳴らしている。
TRUMPコイン急落の背景に潜むMELANIAトークンの矛盾
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メラニア・トランプが発表した「MELANIAトークン」は、発売直後に評価額120億ドルを達成し、暗号資産市場で注目を集めた。しかし、この急成長は、トークン供給の大部分が少数のウォレットに集中していることが判明したことで、疑念を呼んでいる。Bubblemapsのデータによれば、初期供給の89%が1つのウォレットに集約されており、その後わずか4つの主要ウォレットに分割された。この供給構造は公式ウェブサイトの記載と一致しておらず、透明性の欠如が指摘されている。
専門家のConor Grogan氏は、このトークンの管理ウォレットが過去にミームコインローンチプラットフォーム「Pump.fun」で取引に使用されていた点を問題視している。このウォレットはマルチシグ機能を備えておらず、不正アクセスや運営の信頼性に関して懸念が浮上している。事実に基づけば、こうした供給構造や運営手法は、投資家保護の観点から不適切といえる。これらの矛盾が、TRUMPコイン急落の一因として市場の混乱を招いたと考えられる。
メラニアトークンの初動は成功しているように見えるが、その裏に潜むリスクが露呈した形である。投資家は華やかな数値に惑わされず、基盤や運営方針を慎重に精査すべきである。
TRUMPとMELANIA、異なる開発チームの影響
TRUMPとMELANIAの両トークンは、表向きにはトランプ夫妻の名を冠するものの、それぞれ独立した開発チームによって制作されている。CoinbaseのConor Grogan氏は、両トークンが全く異なる構造と運営体制を持つことを明らかにしている。TRUMPは公式ウェブサイトの計画性やセキュリティが評価される一方、MELANIAは十分な準備が整わないままリリースされたとの批判がある。
特に、MELANIAトークンの公式ウェブサイトは、Cloudflareのセキュリティ保護を備えておらず、フロントエンドの設計も簡素である。この点をブロックチェーンエンジニアのCygaar氏が指摘し、詐欺の可能性を示唆している。これに対し、TRUMPトークンのウェブサイトはより整備され、信頼性の高いプロジェクトとみなされている。
両トークンの相違点は、ブランドの信頼性に大きく影響を与える可能性がある。ブランド名の影響力が強い市場ではあるが、投資家はこうした技術的背景を無視すべきではない。トランプ家の名が冠されたプロジェクトだからといって、すべてが同じ信頼性を持つわけではないという認識が必要である。
暗号資産市場における透明性の課題と規制の必要性
今回のMELANIAトークンの問題は、暗号資産市場全体が抱える透明性の欠如を象徴している。少数のウォレットへの供給集中、不透明な資金配分、簡素なウェブサイト設計などは、詐欺の温床となり得る要素である。暗号資産市場はその成長に伴い、透明性を確保するための規制が急務とされている。
一部の暗号通貨コミュニティでは、米国証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー議長が市場規制を強化するべきだとの声も上がっている。MELANIAトークンのような案件が増加すれば、投資家の信頼を損ない市場全体の健全な発展を妨げる恐れがある。SECが規制を再強化する可能性も否定できない。
暗号資産は、革新とリスクが隣り合わせの市場である。市場が成熟するためには、単なる技術的な進歩だけでなく、運営や規制の整備が必要不可欠であるといえる。
Source:Crypto Briefing