ビットコイン金融サービス企業のFold Holdings Inc.(以下、Fold)は、2025年2月19日、ナスダック市場での取引を開始する予定である。同社はFTAC Emerald Acquisition Corp.との合併を完了し、ティッカーシンボル「FLD」と「FLDDW」でそれぞれ普通株式とワラントの取引を行う見込みだ。
Foldは1,000BTC以上を財務資産として保有しており、ビットコインを活用した金融サービスの提供を通じて、世界的なビットコイン採用の拡大を目指している。共同創設者兼CEOのウィル・リーヴス氏は、この上場がビットコインベースの金融サービスへのアクセス拡大と顧客の資産形成支援に寄与すると述べている。
同社は2019年の設立以来、ビットコイン報酬付きのデビットカードやギフトカード購入サービスなどを提供し、累計20億ドル以上の取引量と4,500万ドル以上のビットコイン報酬を顧客に還元してきた。今回の上場により、Foldはビットコインを基盤とした金融商品のさらなる拡充と、顧客への価値提供の強化を図る意向である。
Foldの上場がもたらすビットコイン金融市場への影響

Foldのナスダック上場は、単なる新規公開企業の誕生にとどまらず、ビットコイン金融市場の新たな局面を示すものとなる。Foldは、ビットコインを基盤としたキャッシュバックサービスや決済手段を提供し、デジタル資産の実用性向上を目指してきた。今回の上場により、伝統的な金融市場と暗号資産市場の接点がさらに拡大し、機関投資家を含む幅広い層がビットコイン関連サービスへ関心を寄せる契機となる可能性がある。
特に、Foldは1,000BTC以上を保有することで、ナスダック上場企業の中でも有数のビットコイン保有企業として注目を集める。これにより、マイクロストラテジーやテスラなど、すでにビットコインをバランスシートに組み込んでいる企業と肩を並べる形となる。暗号資産市場において、企業のビットコイン保有は長期的な信頼性を示す要素とされるため、Foldの上場が他企業のビットコイン戦略に影響を与える可能性もある。
また、Foldのサービスは一般消費者向けのビットコイン報酬プログラムを中心としており、これが上場企業のビジネスモデルとして評価されることは、今後の市場にとって重要な意味を持つ。これまでビットコインの活用方法は主に投資目的に限られていたが、Foldの上場により、ビットコインを利用した実用的な金融商品やサービスの展開が加速するかもしれない。企業や金融機関が、Foldの事業モデルを手本とし、新たなビットコイン活用戦略を打ち出すことも考えられる。
このように、Foldのナスダック上場は単なる一企業の成長という枠を超え、ビットコインの普及と金融市場の変革を促す可能性を秘めている。今後、Foldの株価推移やサービスの拡張が、暗号資産市場全体にどのような影響を与えるのか注視する必要がある。
SPAC合併によるFoldの成長戦略と市場環境の変化
Foldは、FTAC Emerald Acquisition Corp.との合併を経て、ナスダック上場を実現する。このSPAC(特別買収目的会社)との合併スキームは、近年の市場環境の変化に適応する戦略として注目されている。SPACを活用することで、従来のIPOプロセスより迅速かつ柔軟に資本市場へ参入できるため、特に成長段階のフィンテック企業にとって有効な手段とされる。
市場環境としては、米国の金融規制の変化や、ビットコインおよび暗号資産に対する政府のスタンスが大きな影響を与える。Foldのようなビットコイン関連企業にとって、規制の方向性は事業の継続性に直結する要素である。例えば、証券取引委員会(SEC)がビットコインETFを承認する動きや、中央銀行のデジタル通貨(CBDC)開発が進む中で、Foldの事業戦略にも適応が求められる。
一方、Foldのナスダック上場は、暗号資産関連企業の資本調達手段として、今後のトレンドを示す可能性がある。これまで、暗号資産を基盤とする企業の多くは、未公開市場やベンチャーキャピタルからの資金調達に依存していた。しかし、Foldの上場が成功すれば、他のビットコイン金融企業もSPACを活用した上場を模索する流れが加速する可能性がある。
また、暗号資産市場のボラティリティはFoldの株価にも影響を与える要因となる。ビットコイン価格の変動がFoldの財務状況に直結するため、投資家は市場動向を慎重に見極める必要がある。加えて、規制の変化が事業環境に与える影響を考慮すると、Foldがどのように成長戦略を進めるかが今後の市場評価に大きく関わる。
総じて、FoldのSPAC合併による上場は、同社の成長戦略だけでなく、ビットコイン金融市場の今後を占う重要な指標となる。市場環境の変化を踏まえた経営判断が求められる中、Foldの動向が他のフィンテック企業やビットコイン関連事業にどのような影響を与えるのか、引き続き注目される。
Source:Bitcoin News