経済学者ピーター・シフが、マイケル・セイラー率いる戦略社(Strategy Inc.)のビットコイン投資戦略を再び批判した。同社の株価は2025年に6%下落し、ビットコイン保有額に対するプレミアムは85%縮小。シフは、負債を活用したBTC購入が株主価値を損ない、転換社債の発行による希薄化がさらなるリスクを招いていると指摘した。

戦略社は直近で約20,356 BTCを追加購入し、合計保有量は478,740 BTCに到達。しかし、シフは過度な負債がビットコイン価格の変動時に致命的な影響を及ぼす可能性があると警鐘を鳴らしている。

シフが指摘する「ビットコインプレミアムの縮小」とは

ピーター・シフは、戦略社のビットコイン投資に対して、保有するビットコインに対するプレミアムの低下を問題視している。彼の指摘によれば、同社の株価と純資産価値(NAV)の間に生じていた評価額の乖離が、2025年に入り85%縮小したという。これまで戦略社のビットコイン保有量は、市場で一定のプレミアムをもって評価されていたが、その価値が急激に減少している点をシフは批判している。

このプレミアムの低下には、戦略社の積極的なビットコイン購入が影響しているとみられる。負債を活用しながらのBTC追加取得により、同社の発行済み株式数が増加し、株主の持ち分が希薄化していることが要因のひとつだ。加えて、株価自体が2025年に入ってから6%下落したことで、投資家の評価が以前ほど高くないことも示唆される。

一方で、あるビットコイン投資家はシフの計算に異議を唱えている。戦略社の時価総額が863億ドルであることを踏まえると、プレミアムの減少幅はシフの主張する85%ではなく、より小さい可能性があるという。この議論は、戦略社の実際の企業価値がどのように市場で評価されているのかを巡る見解の違いを浮き彫りにしている。

転換社債によるビットコイン調達がもたらすリスク

戦略社はビットコイン購入のため、転換社債(CB)を活用する戦略を採用している。この方法は、低金利で資金を調達し、将来的な株価上昇を見越してビットコインを取得するものだ。しかし、この手法に対してシフは強く反対している。彼は、転換社債の発行による希薄化が、既存株主にとって不利益をもたらしていると指摘し、ビットコインの価格が下落した場合に負債が重荷になると警鐘を鳴らしている。

実際、戦略社の最新の転換社債は市場の評価を十分に得られていないようだ。ビットコイン価格が2.5%上昇しているにもかかわらず、同社の株価は同日に4.5%下落した。これは、市場が同社の資金調達手法に対して慎重な姿勢をとっていることを示している可能性がある。

シフは、ビットコイン価格の変動が戦略社の財務状況に与える影響についても言及している。もし戦略社の株価が保有資産額を下回る水準で取引されるようになれば、同社のビットコイン戦略は機能不全に陥るリスクがある。特に、レバレッジを活用した投資は、市場の下落局面で大きな損失を生む可能性があるため、慎重な運用が求められる。

戦略社のビットコイン投資は持続可能なのか

戦略社は外部からの批判を受けながらも、一貫してビットコインの保有量を増やし続けている。直近では、20,356 BTC(約19.9億ドル相当)を新たに購入し、合計で478,740 BTCを保有するに至った。この積極的な取得方針は、ビットコイン市場全体の成長を見据えた長期戦略の一環と考えられる。

ただし、負債を活用し続ける手法には懸念もある。シフが指摘するように、ビットコイン価格が一定の水準を維持できなければ、転換社債の負担が企業にとって重荷となり、株価のさらなる下落を招く可能性がある。特に、市場が戦略社の株式を過剰評価していると判断すれば、プレミアムはさらに縮小することが考えられる。

一方で、戦略社のアプローチを支持する意見もある。ビットコインをデジタル資産として長期的に保持することで、価格上昇の恩恵を享受できるとの見方も根強い。今後、同社が市場の不安を払拭し、どのように成長戦略を描くのかが注目される。

Source:Bitcoinist.com