暗号資産ベンチャーファーム、マルチコインキャピタルが発表した「ソラナ論文」によると、ブロックチェーンエコシステムであるソラナ(Solana)は、ニューヨーク証券取引所やNASDAQを凌駕する可能性があるという。同社は、ソラナが既存の金融市場を超える潜在能力を持つことを強調し、低コストのアーキテクチャや条件付き流動性の革新が鍵になると述べている。特に、グローバルかつ許可不要な市場での迅速な取引完了や幅広いトークン化資産への対応がその魅力を高めている。

この論文では、日次アクティブアドレスや取引量などのオンチェーン指標で既にイーサリアムを超えている点や、手数料の劇的な削減が取引所としての競争力をさらに強固にしていると主張している。今後、ソラナは従来型の金融システムを変革する存在となり得るのか、その可能性に注目が集まっている。

ソラナの低コストアーキテクチャがもたらす金融革命

ソラナの成功の根幹にあるのは、極めて低コストなアーキテクチャである。マルチコインキャピタルの共同創業者カイル・サマニ氏によると、ソラナの分散型ネットワークは従来の金融取引の手数料を90%から99%削減する能力を持つとされる。この設計は、既存の株式取引所がサービスごとの手数料で収益を得る仕組みとは一線を画し、ネットワーク全体が多様な金融プロトコルを通じて持続可能な価値を創出することを可能にしている。

また、取引コストが約0.001ドルという驚異的な低さは、個人の利用者だけでなく、事業者にとっても大きな魅力である。これにより、従来のシステムでは手数料が障壁となっていた小規模取引が活性化し、経済全体に広がる波及効果が期待される。このような仕組みは、既存の金融機関では再現が難しく、ソラナが金融市場において新たな標準を確立する可能性を秘めている。

ただし、このモデルが持続可能であるかは、規制環境や技術的な課題の克服にかかっている。現行の金融規制が新しい分散型システムをどのように受け入れるかが、ソラナの成長を左右する重要な要因となるだろう。

条件付き流動性がもたらす新しい市場構造

ソラナ上で動作するDeFiプラットフォームDFlowが採用する条件付き流動性(CL)は、金融市場の流動性に革命をもたらす可能性がある。CLは、信頼できるフロントエンドパートナーからの注文フローに限定して流動性を提供する仕組みであり、これによりマーケットメーカーはより狭いスプレッドを提供できるようになる。これは従来型の市場におけるスプレッド拡大のリスクを軽減するだけでなく、取引コストの削減と流動性の向上を両立させる手段として注目されている。

マルチコインキャピタルのサマニ氏は、この仕組みがオンチェーン金融の枠を超え、グローバルな市場に広がる可能性があると指摘している。特に、CLの採用が進むことで、大規模な取引だけでなく小規模な個人投資家にも公平で効率的な取引環境が提供されると予想される。

一方で、この技術が従来の金融機関や市場参加者からどのように受け入れられるかは未知数である。既存のシステムと共存する形で利用が進むのか、あるいは新たな市場構造が独自に進化するのかは、今後の動向に注目が集まる。

グローバル金融プラットフォームとしてのソラナの未来

ソラナは単なる「分散型NASDAQ」に留まらず、金融サービス全体をカバーするグローバルプラットフォームへの成長を目指している。サマニ氏は、最終的にはほぼすべての資産がソラナのような分散型システム上で取引されると予測している。このビジョンは、幅広いトークン化資産への対応、迅速な取引完了、そして許可不要な開発環境という3つの柱に基づいている。

また、このようなプラットフォームは、既存の金融商品だけでなく、新たな資産クラスや金融商品を生み出す土壌としても期待されている。たとえば、個人間での資産の直接的な取引や、スマートコントラクトを活用した複雑な金融商品の開発が可能になる。これにより、現在の金融エコシステムが持つ中央集権的な限界を打破し、真にグローバルでオープンな市場が実現する可能性がある。

しかし、この未来像を実現するためには、技術的進化だけでなく、規制や市場参加者の受容が不可欠である。マルチコインキャピタルの見解は野心的であるが、具体的な成果は長期的な取り組みにかかっている。

Source:Bitcoinist.com