暗号資産市場は2月18日、ビットコイン(BTC)が9万4000ドルを下回り、過去24時間で2%、1週間で10%の下落を記録した。特にソラナ(SOL)は16%の大幅下落となり、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が宣伝したミームコイン「LIBRA」の急騰とその後の90%暴落が影響している。
この事件により、ミレイ大統領は詐欺容疑で告発され、アルゼンチンの株式市場も5%以上の下落を見せた。その他、XRPやドージコイン(DOGE)、バイナンスコイン(BNB)もそれぞれ約6%の下落を記録し、市場全体が下落傾向にある。
ビットコインの下落要因と市場心理の変化

ビットコインは9万5000ドルを割り込み、9万4202ドルまで下落した。これは日次で1.5%、週間で2%以上の下落となる。特に目を引くのは、今回の下落が突発的な売りではなく、緩やかながら継続的な下落傾向を示している点である。CoinGeckoのデータによれば、これは2月3日以来の最安値となっており、直近の安定相場から転換した可能性がある。
背景には、米国経済の動向が影響していると考えられる。最近発表された消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り、FRBの利下げ期待が後退したことにより、投資家のリスク選好姿勢が後退した。これにより、株式市場の上昇基調にも陰りが見え、リスク資産である暗号資産にも売り圧力がかかったとみられる。特に機関投資家が注目するビットコイン現物ETFの流入が鈍化していることも、価格の支えを弱めている可能性がある。
市場心理の変化は、ビットコインドミナンス(市場全体に占めるビットコインの割合)にも現れている。通常、リスクオフ局面ではビットコインの優位性が強まるが、今回はアルトコインの急落に引きずられる形でBTC自体も下落している。これは、投資家が市場全体の不透明感を強く感じている証左といえる。
ソラナの急落とアルゼンチン発の影響
ビットコイン以上に市場の注目を集めたのがソラナ(SOL)の急落である。過去24時間で9%、1週間で18%以上の下落を記録し、主要アルトコインの中で最大の下落率となった。この背景には、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が宣伝した「LIBRA」ミームコインの騒動がある。
LIBRAはミレイ大統領がX(旧Twitter)で言及した直後に急騰し、一時は市場の話題を独占した。しかし、短期間で90%暴落し、投資家の多くが大きな損失を抱える事態に発展。ミレイ大統領は「プロジェクトについてほとんど知らなかった」と釈明し投稿を削除したが、これにより詐欺容疑が浮上する事態となった。
この騒動はアルゼンチン国内にとどまらず、ソラナのエコシステム全体にも影響を与えた。LIBRAの取引はソラナ基盤のDEX(分散型取引所)を中心に行われており、この急落がソラナネットワーク全体の信頼性低下につながった。結果として、Jupiter(JUP)やRaydium(RAY)といったソラナ関連プロジェクトのトークンもそれぞれ17%、15%の下落を記録した。
このように、一つのミームコインの問題がソラナ全体の評価に影響を及ぼす状況は、暗号資産市場の成熟度に疑問を投げかける。投資家の信頼を取り戻すためには、今後の規制動向やプロジェクト側の対応が重要な鍵を握ることになるだろう。
今後の市場動向と警戒すべきポイント
暗号資産市場は短期的なボラティリティが高いが、特にビットコインの下落が他の資産にも波及するケースが増えている。現在の相場では、ビットコインETFの動向や米国経済指標の発表が引き続き市場に影響を与えると予想される。
また、アルトコイン市場は、規制リスクや個別プロジェクトの信頼性問題が価格に直結しやすい状態が続いている。LIBRA騒動のようなケースは、今後も発生する可能性があり、投資家はリスク管理を強化する必要がある。特に、アルゼンチンの株式市場が急落したことからも分かるように、政治的要因が暗号資産に及ぼす影響は無視できない。
加えて、機関投資家の資金流入が鈍化すれば、ビットコインの下落はさらに加速する可能性がある。市場が安定するためには、ETFを通じた新規資金の流入がカギを握ると考えられる。今後の価格動向を左右するポイントとして、FRBの金融政策や大手機関の投資判断に注目する必要があるだろう。
Source:Decrypt