仮想通貨市場では、米国証券取引委員会(SEC)がXRPを含むETFを承認したことで、XRPの法的分類をめぐる議論が再燃している。
SECは公式にXRPをコモディティと認定していないが、一部の市場関係者は今回の承認がその方向性を示唆していると指摘する。リップル社との長年の法廷闘争も絡み、XRPのステータスは依然として不透明なままだ。この不確実性が投資家心理に影響を与え、XRPの価格変動を加速させている。
SECのETF承認はXRPの法的地位にどのような影響を与えるのか

SECが2025年2月12日に承認したXRP関連ETFは、市場に新たな憶測を生んでいる。一般的にETFが承認される仮想通貨はコモディティとしての扱いを受けることが多く、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)もその例に該当する。しかし、SECはXRPの分類について公式な見解を示しておらず、XRPがコモディティとみなされるかどうかは不透明なままだ。
リップル社とSECの法廷闘争において、2024年の判決では「XRPの二次市場取引は証券に該当しない」とされたものの、「機関投資家向けの販売は未登録証券の提供に該当する」と判断された。これはXRPが市場全体で一律にコモディティと認定されたわけではなく、販売形態によって異なる規制が適用される可能性を示唆している。このため、ETF承認がXRPの法的地位を確定させたとは言い難い。
現在、SECはXRPを含む仮想通貨の規制方針を見直しており、さらなる法的判断が下される可能性がある。仮にSECが今後XRPをコモディティとして分類した場合、証券取引法の適用範囲が狭まり、XRPを取り扱う金融機関や企業にとって規制上のメリットが生じる可能性がある。しかし、SECが控訴する可能性も依然としてあり、最終的な決着には時間を要する見込みである。
XRP市場の反応と今後の価格動向
XRP関連ETFの承認を受け、市場は即座に反応した。発表後1時間以内にXRPの取引量は30%急増し、オンチェーンデータではXRPレジャーとのアクティブアドレス数が29%増加。大手取引所バイナンスやコインベースでは取引が活発化し、XRPの価格は2025年2月15日に$2.84を記録した。これは5日間で22%の上昇となり、市場の強気姿勢を示している。
アナリストのEgrag Cryptoは、XRPが$2.80のレジスタンスを突破すれば$3.00以上を目指す可能性があると指摘。一方で、売り圧力が強まれば$2.60〜$2.80のレンジで推移する展開も予想される。長期的な視点では、XRPが$3.40のレジスタンスを超えれば、$15〜$17の史上最高値を試す可能性もあるとされている。
ただし、市場には不確実性も残る。SECがXRPの法的分類を明確にしない限り、大手機関投資家が慎重な姿勢を崩さない可能性がある。さらに、今後SECがXRPをコモディティとして正式に認めるかどうかにより、市場のセンチメントは大きく変わる。XRPが明確にコモディティとして分類されれば、新たな資本流入が期待されるが、SECが依然として証券の可能性を示唆する場合、規制リスクが残り価格の変動要因となる。
仮想通貨市場全体への影響とXRPの今後
XRPのETF承認は、XRP単体の問題にとどまらず、仮想通貨市場全体の規制動向にも影響を与える可能性がある。SECは現在、バイナンスやコインベースといった大手取引所に対して未登録証券の販売を理由に法的措置を進めているが、これらの訴訟手続きは一時的に停止されている。この動きが示唆するのは、SECが規制方針を再考している可能性だ。
もしXRPがコモディティと認定されれば、同様の資産である他の仮想通貨にも影響が及ぶ。特に、アルトコインの中には証券と見なされるリスクが指摘されているものも多く、XRPの分類次第では他の仮想通貨の規制方針にも影響が出る可能性がある。
また、XRPが正式にコモディティとされれば、従来SECの規制を警戒していた機関投資家の参入が進む可能性がある。Egrag Cryptoの予測では、最終的にXRPの価格が$110に到達する可能性が示唆されているが、その実現には規制の明確化が不可欠である。
一方で、SECがXRPの証券としての側面を強調し続ける場合、市場にとってはマイナス要因となり得る。リップル社の法廷闘争が長期化すれば、投資家の慎重姿勢が続き、XRPの成長スピードが抑制される可能性もある。市場関係者の多くは、SECの今後の動向を注視しており、XRPだけでなく仮想通貨市場全体の規制環境が今後の鍵を握ることになる。
Source:CoinGape