仮想通貨市場が回復の兆しを見せる中、ビットコインの市場支配率が低下し、アルトコインの優位性が高まっている。2024年はアルトコイン市場にとって準備期間にすぎず、2025年に歴史的な上昇が訪れる可能性が指摘されている。

注目されるのは、複数のアルトコインETFの承認見通しとイーサリアムのネットワークアップグレードだ。特に、SECの動向やニューヨーク証券取引所のイーサリアムETFステーキング提案は、市場に大きな影響を与える要素となる。

過去の市場サイクルを踏まえると、2月はアルトコインの急騰が起こりやすい時期とされている。現在の市場環境は過去の強気相場と類似しており、主要アルトコインの価格動向にも引き続き注視が必要だ。

アルトコイン市場の転換点 ー ETF承認と規制の行方

アルトコイン市場の動向を決定づける要因の一つとして、アルトコインETFの承認が挙げられる。現在、XRP、ソラナ、ライトコイン、ドージコイン、カルダノなどのETF申請が進行中であり、米国証券取引委員会(SEC)の対応が注目されている。SECはGrayscaleのXRPおよびドージコインETFに関する19b-4提出書類を認めており、今後の本格的な承認プロセスが期待される。

ブルームバーグのアナリストであるEric Balchunas氏とJames Seyffart氏は、ライトコインETFの承認確率を90%と分析している。ドージコインETFは75%、ソラナETFは70%、XRP ETFは65%の確率で承認される可能性があると見られており、アルトコイン市場の資金流入を大きく左右するポイントとなる。

しかし、SECの規制方針は未だ不透明な部分も多い。特に仮想通貨業界全体の規制強化の流れが続いており、ETF承認の可否が市場のセンチメントに与える影響は大きい。トランプ政権時代には仮想通貨ETFの承認に対して前向きな姿勢が取られていたが、現在の規制当局のスタンスがどのように変化するかが重要な焦点となる。ETFの承認が進めば、機関投資家の参入が加速し、市場の安定性が増す可能性があるが、慎重な姿勢が続けば流動性の向上が遅れることも考えられる。

イーサリアムの進化 ー Pectraアップグレードとステーキングの新展開

イーサリアムのエコシステムもまた、アルトコイン市場における重要な変革要因となる。現在、Ethereum財団は「Pectra(ペクトラ)」アップグレードの準備を進めており、2024年2月24日にHoleskyテストネット、3月5日にSepoliaで適用され、4月8日にはメインネットでの展開を予定している。このアップグレードはネットワークの効率化とスケーラビリティの向上を目的としており、イーサリアムの競争力をさらに強化する可能性がある。

また、ニューヨーク証券取引所(NYSE)は、GrayscaleのスポットイーサリアムETFにステーキング機能を導入する提案を行い、SECの承認を求めている。これが実現すれば、機関投資家がイーサリアムを長期保有する動機が強まり、流通量が減少することで市場価格の安定や上昇につながる可能性がある。

過去の市場サイクルでは、ネットワークアップグレードのタイミングが価格上昇の契機となることが多かった。特に2021年の「ロンドン・ハードフォーク」や「EIP-1559」実装時には、ガス代の最適化と供給量の減少が市場にポジティブな影響を与えた。今回のPectraアップグレードも、機能改善だけでなく、市場の期待感を高める要因となるだろう。

ただし、アップグレードが市場に与える影響は必ずしも一方向とは限らない。技術的な問題が発生すれば一時的な売り圧力が生じる可能性もあり、ネットワークの安定性が確保されるまで市場の反応を見極める必要がある。また、イーサリアムETFのステーキング機能が承認された場合、ETH価格のボラティリティがどのように変化するかも注視すべきポイントだ。

アルトコイン市場の未来 ー 過去のサイクルとの比較

市場アナリストの間では、アルトコインシーズンの到来が2025年に本格化する可能性が指摘されている。Ted氏は2024年のアルトコイン市場の動きは単なる「ウォームアップ」に過ぎず、2025年に歴史的な上昇が起こると予測している。同様に、CryptoGoos氏は過去の市場サイクルを分析し、2017年と2021年の急騰と類似した展開が見込まれると述べている。

これまでの市場サイクルでは、ビットコインの半減期後にアルトコイン市場が活発化する傾向が見られた。特に2017年のアルトシーズンでは、ビットコインの成長に続く形でイーサリアムやXRPが急騰し、多くの新規プロジェクトが注目を集めた。2021年の強気相場でも、NFTやDeFi(分散型金融)のブームがアルトコイン市場を牽引し、多くの銘柄が過去最高値を更新した。

2025年にかけて市場が同様のパターンをたどる場合、特に注目されるのはイーサリアムとソラナの動向である。イーサリアムはアップグレードを重ねることでエコシステムの強化を図り、ソラナはその高速取引と低コストの強みを活かしDeFiやNFT市場での存在感を増している。

ただし、過去のサイクルと現在の市場環境には相違点も多い。特に規制の強化やマクロ経済の変動は、仮想通貨市場全体に影響を与える要因となる。2024年には複数の国で中央銀行デジタル通貨(CBDC)の導入が進む可能性があり、これが仮想通貨市場にどのような影響を及ぼすかも重要なポイントとなるだろう。

アルトコイン市場は今後も進化を続けるが、価格の変動要因は単なる技術的進歩や市場サイクルだけでなく、規制環境や投資家心理とも密接に関係している。次のアルトコインシーズンが過去のパターンとどこまで類似するかは、今後の市場の動きを見極めるうえで重要なポイントとなる。

Source:CoinGape