CoinSharesの最新週次データによれば、デジタル資産投資商品は19週間連続の資金流入の後、先週は4億1500万ドルの大幅な流出を記録した。しかし、XRPは850万ドルの資金流入を確保し、ビットコインやイーサリアムを上回るパフォーマンスを示した。この動向は、FRB議長ジェローム・パウエルのタカ派的発言と、予想を上回る米国消費者物価指数(CPI)のインフレ率が市場の金利引き上げ予想を強めたことが背景にある。
ビットコインは4億3000万ドルの流出を記録し、デジタル資産の中で最も大きな影響を受けた。一方、ソラナ(Solana)は890万ドルの流入で最も多くの資金を集め、XRPがそれに続いた。また、Suiやカルダノ(Cardano)、ライトコイン(Litecoin)もそれぞれ600万ドル、190万ドル、120万ドルの流入を記録した。
地域別では、米国が4億6400万ドルの大規模な流出を経験したのに対し、ドイツが2100万ドル、スイスが1250万ドル、カナダが1020万ドルの流入を記録した。この資金移動は、FRBのタカ派的姿勢とCPIの上昇が投資家心理に影響を与えた結果と考えられる。
現在、XRPの価格は2.66ドルで、過去24時間で0.67%の下落、過去1か月で15%の下落を示している。しかし、週間ベースでは11%の上昇を記録しており、投資家の関心が高まっていることがうかがえる。
このような市場動向は、FRBの金融政策やインフレ指標がデジタル資産市場に与える影響の大きさを示しており、投資家は今後の経済指標や政策動向に注視する必要がある。
デジタル資産市場の資金流動とXRPの異例の堅調さ

デジタル資産市場は、米国の金融政策の影響を受けながらも、特定の銘柄が独自の動きを見せている。CoinSharesの週次報告では、デジタル資産投資商品が4億1500万ドルの資金流出を記録し、特にビットコインが4億3000万ドルの大規模な流出に直面した。しかし、XRPは850万ドルの流入を確保し、市場全体の流れとは異なる動きを示した。
XRPの資金流入が際立つ要因として、証券取引委員会(SEC)との訴訟の進展がある。SECがXRPを含むオルトコインETFの可能性を示唆したことで、市場の期待感が高まっている。また、XRPは送金や決済分野での実用性が評価されており、特に国際送金市場での採用が拡大していることも資金流入を支える要因となっている。
一方、ソラナ(Solana)が890万ドルの流入を記録し、XRPを上回った点も注目される。ソラナは高い処理能力と低コストのトランザクションを強みとしており、分散型アプリケーション(dApp)市場での存在感を高めている。デジタル資産市場全体が流出傾向にある中、XRPやソラナのような個別銘柄の動向が、今後の市場の方向性を示唆する可能性がある。
米FRBの金融政策がデジタル資産市場に与える影響
米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策は、デジタル資産市場に大きな影響を与えている。ジェローム・パウエル議長が2月12日の議会証言で、金利引き下げに慎重な姿勢を示したことは市場に警戒感をもたらした。市場はFRBが2024年中に複数回の利下げを行うと期待していたが、パウエルは「経済は依然として強く、急いで政策を調整する必要はない」と述べ、早期の利下げを否定する可能性を示唆した。
この発言を受け、金融市場では利下げ期待が後退し、リスク資産である仮想通貨からの資金流出が加速した。特に、ビットコインとイーサリアムは投資家の売り圧力を受け、大幅な流出を記録した。一方で、米国以外の市場では資金流入が続いており、ドイツやスイス、カナダがデジタル資産投資に前向きな姿勢を維持している。
FRBの政策動向は、今後のデジタル資産市場の方向性を左右する重要な要因となる。もしインフレ率がさらに上昇し、FRBが金利を維持または引き締めの方向へ動く場合、市場のセンチメントはより弱気になる可能性がある。逆に、経済データが軟化し、FRBが政策を緩和する方向へ転じれば、リスク資産への資金流入が再び活発化する可能性がある。
XRPの価格動向と市場の期待
XRPは、資金流入が続く一方で価格の低迷が続いている。現在の取引価格は2.71ドルで、過去24時間で0.67%の下落、1か月で15%の下落を記録している。しかし、週間ベースでは11%の上昇を示しており、短期的な回復の兆しも見られる。
XRPの価格低迷の背景には、SECとの訴訟の進展が不透明であることや、市場全体のリスク回避傾向が影響していると考えられる。しかし、XRPの実用性が高く評価されている点や、企業間の国際送金システムにおける採用の増加が将来的な成長要因として期待されている。
また、XRPの技術基盤であるRippleNetは、既存の金融機関との連携を深めており、中央銀行デジタル通貨(CBDC)との連携の可能性も指摘されている。これらの要素が、長期的な視点ではXRPの価値を押し上げる要因となる可能性がある。市場の不透明感が続く中、XRPの成長余地に対する期待は依然として高い。
Source:CoinGape