RippleとブラジルのBraza Groupは、XRP Ledgerを基盤とするステーブルコイン「BBRL」を発表した。ブラジルレアルと連動するこのデジタル資産は、個人および企業向けに安定した国際送金とコスト削減を実現することを目的としている。

Braza GroupはBBRLを2025年第1四半期に機関投資家向けにリリースし、後に一般消費者向けにも展開する計画だ。同社はブラジル中央銀行のDREXプログラムにも参加しており、パブリックブロックチェーン活用やCBDCとの交換など4つのユースケースを提案している。

また、ブラジル証券取引委員会は世界初のXRP現物ETFを承認しており、南米市場における暗号資産の存在感は一段と高まっている。

XRP Ledgerが支えるBBRLの技術的基盤と優位性

BBRLはXRP Ledger(XRPL)上に構築されたステーブルコインであり、その最大の強みはXRPLの高い処理能力とセキュリティにある。XRPLは秒間1500件以上のトランザクションを処理可能で、決済の確定時間は約3〜5秒と極めて速い。これにより、国際送金や商業取引における遅延とコストの課題を大幅に軽減する。

また、XRPLの分散型構造は高いセキュリティを確保し、Braza Groupが提供するBBRLにおいても、この特性がユーザー資産の安全性を支える基盤となっている。Braza Bankによる完全保証は、1対1でブラジルレアルに裏付けされた信頼性を担保するものだ。

さらに、XRPLはスマートコントラクトの機能を持たない代わりに、信頼性の高い決済に特化したデザインとなっており、これがBBRLの安定運用を支えている。環境負荷の低さも特筆すべき点であり、XRPLはプルーフ・オブ・ワーク(PoW)を採用しないため、エネルギー消費量がビットコインに比べて圧倒的に少ない。これらの技術的利点がBBRLの競争力を支える要因となっている。

ブラジル中央銀行DREXプログラムとの連携が示す未来戦略

Braza Groupは、ブラジル中央銀行が推進するデジタルリアル「DREX」プログラムにも積極的に参画している。このプログラムは、CBDCの実現に向けた重要な取り組みであり、Braza Groupはここでブロックチェーンの4つのユースケースを提案している。具体的には、デベンチャー(社債)のトークン化、DREX資産のカストディ、CBDCとの交換、パブリックブロックチェーンを活用したデジタル資産管理が挙げられる。

この参加はBBRLの導入だけでなく、ブラジル全体のデジタル金融インフラを強化する意図がある。サコモリCEOは「ブロックチェーンと従来の金融を融合させることで、より包括的な経済圏を構築する」と述べており、BBRLはその橋渡し役となることを期待されている。

DREXプログラムにおけるBraza Groupの役割は、国内外の市場でBBRLが利用される環境を整えることに直結する。中央銀行主導のイニシアチブに参加することで、BBRLは規制に準拠した信頼性の高い資産としての地位を築く可能性がある。

BBRLの市場戦略と南米を超えた国際展開への布石

Braza GroupはBBRLの市場シェアについて、2025年末までにブラジル市場の30%を獲得することを目標としている。この数値は単なる国内普及を超え、国際送金ルートの確立を通じたブラジル経済との連携強化を意味している。

BBRLの初期展開は機関投資家向けに始まり、その後「Braza On」アプリを通じて一般消費者にも提供される予定だ。この段階的なアプローチは、安定性と流動性を確保しながら市場の信頼を獲得する戦略といえる。サコモリ氏は「BBRLは国際取引の標準を変革する可能性を秘めており、透明性と効率性を同時に実現する」と強調している。

また、ブラジル証券取引委員会(CVM)による世界初のXRP現物ETF承認は、ブラジル市場が暗号資産に対して先進的な姿勢を示していることを物語る。この流れの中でBBRLが南米を超え、国際的な送金および決済の新たな手段として普及する基盤が整いつつあると考えられる。

Source:Bitcoinist.com