イーサリアム(ETH)の価格上昇に関して、暗号資産市場の専門家テッド・ピローズは「10,000ドル達成は控えめな目標」との見解を示している。現行の強気相場サイクルにおける市場動向、機関投資家の採用拡大、そして米国の前向きな規制環境を根拠に、ETHはこれまでの過去最高値を大きく超える可能性があるという。
ピローズは、イーサリアムが中央銀行や政府機関にとって最適な基盤レイヤーとなりつつある現状を指摘。特に、米国財務省によるオンチェーン化の計画はETHの需要拡大に直結するとして、長期的な上昇を確信している。加えて、ETHの低インフレ率、機関投資家の蓄積、そして総預かり資産(TVL)の高さも強気の根拠として挙げられている。
市場分析プラットフォーム「Santiment」も、ETHの取引所供給率が6.38%と過去最低水準に達していることを報告。コールドウォレットへの移動が進むことは投資家の長期保有意識の高まりを示し、今後の価格回復に向けた強い追い風となる可能性がある。
過去のサイクルを踏まえ、ピローズは「10,000ドル到達は必然」との立場を崩さない。現在ETHは2,733ドルで取引されており、年内に大台突破へ向けた本格的な動きが注目されている。
機関投資家の蓄積と流動性の変化が示す強気基調

イーサリアム(ETH)の10,000ドル達成を「控えめな目標」とするテッド・ピローズの見解を支える根拠の一つが、機関投資家による積極的な蓄積と流動性の変化である。オンチェーン分析プラットフォーム「Santiment」は、取引所におけるETHの供給率が6.38%と過去最低水準に達していることを報告。この数値は、投資家がETHを取引所からコールドウォレットに移動し、長期保有にシフトしていることを示している。
機関投資家の参入は、イーサリアムのエコシステムに対する信頼感を強める要素でもある。中央銀行、信用組合、保険会社などの伝統的な金融機関がブロックチェーン技術を活用する中で、ETHは基盤レイヤーとしての役割を担い始めている。これにより、単なる投機資産から実用的なインフラとしての価値が一段と高まっている。
こうした流れは、単なる価格上昇を超えたイーサリアムの基盤強化を示唆する。流動性の低下と機関による蓄積が進む現状は、供給逼迫を招き、価格上昇を後押しする重要な要素となるだろう。
テクニカル分析が示唆する10,000ドル到達の根拠
過去の市場サイクルに基づくテクニカル分析も、ETHの10,000ドル達成を現実的なシナリオとして支持している。ピローズは2016年のサイクルを例に挙げ、当時ETHが長期的な低迷を経た後、ブレイクアウトして過去最高値を更新した流れを指摘。この動きは現在の市場環境とも重なる部分が多く、歴史が繰り返される可能性は否定できない。
また、イーサリアムは現在2,700ドル台を推移しており、過去のレジスタンスを突破する勢いを見せ始めている。特に重要なのは、強気相場では取引量の増加を伴ったブレイクアウトが価格上昇の初動を示唆することだ。現状の取引所供給率の低下と機関投資家の買い増し傾向を踏まえれば、次なる上昇局面では5,000ドルの壁を超え、10,000ドルに向けた動きが加速する可能性がある。
テクニカル面から見ても、ETHは重要なサポートラインを維持しており、相場全体のセンチメントが改善すれば強気のシナリオがより現実味を帯びてくるといえる。
市場心理と規制動向が価格形成に与える影響
ETHの価格形成には市場心理と規制環境も大きく影響している。特に米国における暗号資産規制の明確化は、機関投資家の参入を促進し、ETHに対する信頼感を強化する要因となっている。米国財務省がブロックチェーン技術の活用を進める計画は、イーサリアムの需要をさらに押し上げる可能性を秘めている。
一方で、暗号資産市場はボラティリティが高く、投資家心理が価格変動に直結する側面も否定できない。ETHが主要暗号資産に比べて低迷している現状は、不安定な市場心理が影響していることも一因である。しかし、長期保有を示すオンチェーンデータと機関の関与拡大が続けば、10,000ドル達成に向けた信頼感は着実に高まるだろう。
規制と市場心理は常に相互作用し、価格動向を左右するが、現行の状況はETHにとって有利に働いていることは間違いない。
Source:Bitcoinist.com