ビットコイン(BTC)の新規アドレス数が急激に減少している。市場のボラティリティが高まる中、投資家心理は冷え込み、新規参入者の動きが鈍化。アリ・マルティネス氏によると、新規アドレスの月平均数が年間平均を下回り、ネットワークの成長が停滞している。

短期保有者は価格下落に伴い損失を抱え、パニック売りを加速。Darkfost氏は、Bybitのハッキング事件が売却を後押しした可能性を指摘する一方、こうした動きが市場の底打ちを示す兆候ともなり得ると分析。

さらに、1BTC未満を保有する「シュリンプアドレス」の蓄積も減少し、個人投資家の関心低下が鮮明になっている。市場回復には信頼感の再構築が鍵となりそうだ。

ビットコイン新規アドレス減少の背景と市場心理の変化

新規ビットコインアドレス数の減少は、単なる市場低迷だけでなく、投資家心理の微妙な変化を映し出している。アリ・マルティネス氏が指摘するように、過去数週間にわたる新規アドレスの減少は、市場参加者が慎重な姿勢を強めていることを物語る。

特に短期的な価格変動に敏感な層は、市場の不安定さに直面し、BTCへの関心を薄れさせている。これは、ビットコインが単なる資産クラスとしてだけでなく、信頼性の象徴としても試練にさらされていることを示唆している。

また、暗号資産市場全体でリスク回避の動きが強まっており、リスクオン姿勢が低下していることも新規参入を抑制する要因となっている。この流れは、BTCだけでなく他の暗号資産にも影響を与え、業界全体の成長を鈍化させる懸念を強めている。

短期保有者の損失と市場への影響

短期保有者が抱える損失は、ビットコイン市場にさらなる圧力をかけている。Darkfost氏が指摘した「短期保有者の損益指標(P&L)」によれば、過去数日間で短期保有者は大きな含み損を抱え、損切りを迫られる事態となっている。

特に週末に発生したBybitのハッキング事件は、これらの売りを加速させた一因と考えられる。セキュリティリスクが浮き彫りになることで、短期的な不安心理が高まり、損失を確定してでも保有資産を現金化する動きが広がった。

しかし、こうした短期的な投げ売りは、過去の市場動向から見ても底値形成の兆候と捉えられることが多い。市場参加者の過剰な反応が収束すれば、再び安定を取り戻し、価格の反発につながる可能性も否定できない。

個人投資家の関心低下と長期的な影響

ビットコイン市場における個人投資家の関心低下も見逃せない。アクセル・アドラー・ジュニア氏が指摘する「シュリンプアドレス」の蓄積減少は、1BTC未満を保有する個人投資家が市場から距離を置き始めていることを示している。

通常、個人投資家は強気相場の初期段階で積極的にBTCを購入し、市場の活況を下支えする役割を担う。しかし、現在はその動きが見られず、市場回復の足かせとなっている。

加えて、暗号資産市場における規制強化や金利動向など、外部環境の変化も個人の投資意欲を抑制している。こうした状況が長期化すれば、BTCの普及がさらに遅れ、成長軌道に戻るには相応の時間を要することになりそうだ。

Source:Bitcoinist.com