暗号通貨市場が再び不安定な動きを見せている。2025年2月26日、アルトコインやミームコインを中心に急落し、暗号資産の時価総額は24時間で3.16％減少、2兆7800億ドルに落ち込んだ。背景にはドナルド・トランプ前大統領による欧州連合（EU）への関税提案があり、市場では貿易摩擦やインフレ加速への懸念が高まっている。
特に、SAFEが8.83％の大幅下落を記録したほか、VANA、RAY、LEO、BGB、HNTといった主要アルトコインも軒並み値を下げた。一方で、KAITOは41.60％上昇し、市場全体の下落トレンドに逆行する動きを見せた。
アナリストは、関税政策が投資家心理を冷やし、流動性の低いアルトコインほど強い売り圧力を受けやすいと指摘。さらに、SAFEの下落にはBybitの「Safe Wallet開発者マシンのハッキング報告」も影響しており、市場の不確実性を一層深めている。
アルトコイン市場に広がる不安定性 関税案がもたらす投資環境の変化
2025年2月26日、暗号通貨市場は大きな波乱に見舞われた。特にアルトコイン市場は急落し、多くの銘柄が軒並み下落を記録した。SAFEは8.83％の下落を筆頭に、VANA（8.32％）、RAY（8.16％）、LEO（7.02％）、BGB（6.82％）、HNT（6.67％）といったアルトコインが大きく値を下げた。ミームコイン市場でも同様の動きが見られ、BRETTやTRUMPといったコインが売られたほか、ドージコイン（DOGE）も低水準での推移が続いている。
この下落の背景にあるのが、ドナルド・トランプ前大統領による欧州連合（EU）への関税案である。最大25％の関税が課される可能性があり、市場ではこれが貿易摩擦の激化とインフレ上昇を招くとの懸念が広がった。結果として、投資家のリスク回避姿勢が強まり、流動性の低いアルトコイン市場では特に売り圧力が増した。
市場の不安定性は、暗号資産全体の動きにも影響を及ぼしている。ビットコインの価格は8万4000ドルを下回り、暗号資産市場全体の時価総額は3.16％減少し、2兆7800億ドルに落ち込んだ。このように暗号市場は伝統的な金融市場との連動性を強めており、政策の変化が即座に価格に反映される傾向が顕著になっている。
米国の関税政策が暗号市場に与える影響 貿易摩擦とインフレリスク
トランプ前大統領の関税案は、単に貿易戦争の激化を招くだけでなく、インフレを通じた経済環境の悪化を引き起こす可能性が指摘されている。関税が引き上げられることで輸入品の価格が上昇し、企業の生産コストが増加する。結果として、物価上昇が加速し、中央銀行が金融引き締め策を取る可能性が高まる。このような状況ではリスク資産への資金流入が鈍化し、暗号市場全体のボラティリティが高まることが予想される。
特に影響を受けやすいのがアルトコイン市場である。ビットコインやイーサリアムといった主要通貨と比較すると、流動性が低く市場の耐性も弱いため、経済環境の変化に敏感に反応する傾向がある。今回の急落も、こうしたアルトコイン市場の特性が強く表れた結果といえる。
また、関税政策による経済全体の減速も無視できない。関税によるコスト上昇は企業収益を圧迫し、株式市場の下落につながる可能性がある。すでに米国市場では関税リスクを織り込む動きが見られ、暗号市場でも同様の懸念が広がった。これにより、短期的には投資マインドが冷え込み、暗号通貨市場への資金流入が鈍る可能性がある。
SAFEの下落に影響したBybitのハッキング報告 市場心理に与えた打撃
SAFEが8.83％と他のアルトコイン以上に急落した背景には、Bybitのハッキング報告も影響している。Bybitは「Safe Walletの開発者マシンがハッキングされた」と発表しており、市場ではセキュリティリスクが意識された。この報道を受け、投資家のSAFEに対する信頼が揺らぎ、大量の売却が発生したとみられる。
暗号市場において、ウォレットや取引所のセキュリティリスクは極めて重要な要素となる。過去にも大規模なハッキング事件が発生するたびに、市場全体が大きく動揺したケースが多い。特に、流動性の低い通貨ほど影響が大きく、SAFEの急落もその一例といえる。
市場の一部では、暗号通貨の保有者がこうしたリスクを回避するため、資産をより安定性の高いビットコインやイーサリアムに移す動きが加速しているとの見方もある。SAFEの事例は、セキュリティが不十分なプロジェクトに対する市場の厳しい評価を示しており、今後もこうしたリスク要因が価格形成に大きな影響を及ぼすことが予想される。
Source：Bitcoin News