RobinhoodのCEOウラジミール・テネフ氏は、ブロックチェーン技術が株式市場の非効率性を解消し、24時間取引を可能にすると主張した。暗号資産のインフラを活用すれば、決済時間の短縮や取引コストの削減が実現できるという。
テネフ氏は、現在の株式市場が特定の取引時間に制限され、決済に数日かかる仕組みが時代遅れであると指摘。規制の不透明さが普及を妨げているが、業界の発展に向けて変化が進んでいると楽観的な見方を示した。
同氏は、ホワイトハウスの「暗号資産サミット」に出席し、ブロックチェーン技術の導入に向けた規制改革の必要性を訴える予定だ。主要金融機関も同技術の活用を模索しており、株式市場の革新に向けた動きが加速する可能性がある。
ブロックチェーンが変える株式市場の仕組み

RobinhoodのCEOウラジミール・テネフ氏は、株式市場の根本的な非効率性を解決する手段としてブロックチェーン技術の活用を主張している。従来の取引システムでは、取引時間が制限され、決済には数日を要することが一般的だ。しかし、ブロックチェーンを基盤とするシステムを導入すれば、取引は24時間365日可能となり、決済も即時完了できる。
株式市場では依然として中央集権的な証券決済機関(DTCC)が取引の最終決済を担っており、プロセスの複雑さがコストを押し上げている。一方、暗号資産市場では、ブロックチェーンを活用した自動決済システムが普及しており、取引コストを大幅に抑えることに成功している。テネフ氏は、こうした暗号資産の仕組みを株式市場にも応用できると考えている。
現在、JPモルガンなど一部の金融機関は、ブロックチェーン技術を活用した決済実験を開始している。しかし、法規制の問題が依然として普及の障壁となっている。特に米国では、証券取引委員会(SEC)が暗号資産関連の規制に慎重な姿勢を示しており、金融市場全体でのブロックチェーン導入には慎重な議論が求められる。
規制の不透明さがブロックチェーン導入を阻む要因
テネフ氏は、ブロックチェーンが株式市場の取引プロセスを大幅に効率化できると主張する一方で、米国の証券法がこの変革の妨げになっていると指摘している。現在の法律では、ブロックチェーン上で株式を直接取引することが困難であり、従来の取引所を介さない仕組みの実現には法改正が必要となる。
現行の規制環境では、暗号資産と伝統的な金融商品が完全に統合されることは難しい。例えば、株式をトークン化して取引する「セキュリティ・トークン」の普及も、SECの厳格な審査が進まない限り本格的には進展しないと考えられる。テネフ氏は、こうした状況が株式市場の技術革新を遅らせていると主張し、政府の対応を求めている。
ただし、規制の明確化が進めば、ブロックチェーンの導入が加速する可能性は十分にある。現在、ホワイトハウスが開催する「暗号資産サミット」では、業界の主要プレイヤーがブロックチェーン技術の有用性を議論する予定であり、規制緩和に向けた動きが生まれる可能性がある。特に、金融機関と政府が歩調を合わせることができれば、新たな取引インフラの構築が現実のものとなるだろう。
伝統的な金融機関もブロックチェーン導入を模索
暗号資産業界だけでなく、大手金融機関もブロックチェーン技術の導入を本格的に検討している。JPモルガンやゴールドマン・サックスなどの金融機関は、ブロックチェーンを活用した証券決済や資産のトークン化を試験的に導入し始めている。これにより、金融市場全体の効率性が向上し、新たな投資機会が生まれる可能性がある。
既に一部の銀行では、ブロックチェーンを活用したクロスボーダー決済の実験が進められており、国際送金のスピードとコスト削減の面で大きな成果を上げている。こうした動きは、株式市場にも波及すると考えられる。テネフ氏の指摘通り、ブロックチェーン技術が株式取引に応用されれば、決済の透明性が向上し、市場へのアクセスが格段に広がる可能性がある。
ただし、金融機関がブロックチェーンを本格導入するには、既存のインフラとの整合性や規制対応が大きな課題となる。例えば、トークン化された資産の保管方法や、ブロックチェーン上での取引記録の正当性をどのように保証するかといった問題が残されている。こうした課題が解決されれば、ブロックチェーンが金融市場の新たな標準となる未来も見えてくるだろう。
Source:CryptoSlate