2025年、ドナルド・トランプ氏の仮想通貨政策が注目を集めている。賭け市場では、彼の大統領就任後にビットコインを戦略的準備金として採用する可能性が急上昇。Kalshiでは2026年までにBTC準備金を設立する確率が70%、Polymarketでは就任後100日以内の確率が42%とされる。
さらにトランプ氏は、ビットコインのみならずUSDコインやソラナなどの多様な仮想通貨を含めた国家準備金の設立を視野に入れている。これにより、アメリカは仮想通貨の世界的中心地となる道筋を描き、既存のETFを超える影響を与える可能性があると専門家は指摘する。
トランプ氏が目指す仮想通貨政策の全貌とは
トランプ政権の仮想通貨政策は、単なるビットコインの採用にとどまらない。2024年のテネシー州ナッシュビルでのビットコイン会議において、トランプ氏は国家的な戦略準備金の構想を発表した。この準備金はビットコイン(BTC)を中心に据えつつ、USDコイン(USDC)、ソラナ(SOL)、XRPなどの他の主要な仮想通貨も含む可能性が議論されている。これにより、米国は仮想通貨の多様性を取り入れた新たな経済基盤を構築する意図を示している。
また、トランプ氏は仮想通貨を国家の優先事項として位置付ける大統領令に署名する意向を示している。この政策は、金融システムにおけるアメリカの主導権を取り戻す狙いがあると考えられる。これらの動きは、単に市場の期待を煽るだけでなく、規制の明確化と投資環境の安定化を通じて、アメリカの仮想通貨産業全体に新たな勢いを与える可能性がある。
一方で、こうした政策の実現には多くの課題が残されている。特に、既存の金融機関との利害調整や国際的な規制の整合性が求められる中、トランプ政権がどのようにこの構想を具体化していくかが注目される。
賭け市場が映す投資家心理と仮想通貨の未来
KalshiやPolymarketなどの賭け市場において、トランプ政権下でのビットコイン準備金の設立確率が急上昇している事実は、投資家心理を如実に反映している。Kalshiの予測によれば、2026年までにBTC準備金が設立される確率は70%に達しており、Polymarketでも就任後100日以内に実現する可能性を42%と見積もっている。これらの数値は、トランプ氏の仮想通貨政策が市場に与える影響力の大きさを物語っている。
この背景には、仮想通貨市場の成熟度の向上がある。ビットコインETFが登場し、機関投資家の参入が進む中で、国家的な準備金の設立は市場にさらなる信頼感をもたらすと期待されている。また、準備金が導入されれば、米国が仮想通貨の世界的中心地となる道筋を描く契機となると見られる。
しかし、この楽観論が現実化するかは依然として未知数である。政策の具体化には時間がかかる可能性があり、市場の期待が過剰な場合、失望売りを招くリスクも否定できない。それでも、賭け市場の動向は、投資家が仮想通貨の未来に対していかに強い期待を抱いているかを示している。
仮想通貨国家準備金がもたらす世界的影響
仮にアメリカがビットコインを含む国家準備金を設立すれば、その影響は国内にとどまらず、世界的な金融秩序を再編する可能性がある。CoinSharesの研究者は、「アメリカにおけるビットコイン採用法案は、ETFを上回る長期的な影響をビットコインにもたらす」と指摘しており、この動きが他国に波及するシナリオも考えられる。
また、アメリカが仮想通貨を国家レベルで正式に採用することは、従来のドル支配に挑む形となり、国際的な競争を激化させる可能性がある。特に中国やEU諸国がCBDC(中央銀行デジタル通貨)を推進する中で、アメリカの仮想通貨政策がどのような形で国際金融市場に影響を及ぼすかが焦点となる。
一方で、この動きは国際的な規制の強化や仮想通貨市場の収束を引き起こす可能性もある。つまり、国家準備金の設立は市場に安定をもたらす一方で、過剰な規制が新興プロジェクトの革新を妨げるリスクも伴う。このように、仮想通貨国家準備金の設立は、単なる市場刺激策ではなく、金融の未来を再構築する試みとして位置付けられるべきであろう。
Source:Cointribune