元ゴールドマン・サックスのアナリストであり、Easyの共同創設者であるドム・クォック(Dom Kwok)は、XRPが時価総額でイーサリアムを超える可能性が高いと強調した。彼の発言は、仮想通貨市場全体の回復とXRPの価格上昇を背景にしたもので、市場関係者の間で注目を集めている。

過去数週間、XRPは著しい上昇を見せ、3.39ドルまで急騰し2018年以来の最高値を更新した。その後調整が入ったものの、XRP/ETHの価格比は50か月ぶりの高水準となり、XRPの成長性に対する期待が高まっている。専門家の中には、XRPが7.5ドル以上へと上昇する可能性を指摘する声もあり、市場の一部では「XRPがイーサリアムを超える日が近い」との見方も強まっている。

XRPの急成長を支える要因—技術革新と市場環境の変化

XRPの急騰は単なる市場の投機的な動きではなく、複数の要因が組み合わさった結果である。特に、XRPレジャー(XRPL)の技術的進化や、規制環境の変化が影響を与えている。

XRPレジャーは、中央集権的な管理を必要とせず、迅速かつ低コストな取引を可能にする分散型台帳技術(DLT)を採用している。これにより、国際送金や決済分野での活用が進んでおり、従来の金融機関との提携も増えている。最近では、XRPLのスマートコントラクト機能の拡張が進められており、イーサリアムの強みである分散型アプリケーション(dApps)領域への進出も視野に入れられている。この技術革新が、XRPの市場評価を押し上げている一因といえる。

さらに、規制環境の変化もXRPにとって追い風となっている。米証券取引委員会(SEC)との訴訟問題が和解へ向かう中で、XRPの法的地位が明確になりつつある。これにより、機関投資家の参入が加速し、取引高が増加する可能性がある。また、各国の中央銀行がデジタル通貨(CBDC)の導入を進める中で、XRPが決済インフラとしての役割を果たす可能性も指摘されている。

市場環境の変化もXRPに有利に働いている。ビットコインやイーサリアムがマイニングを必要とするのに対し、XRPは環境負荷が低く、企業のサステナビリティ指針とも合致しやすい。こうした背景から、大手企業がXRPを採用する動きが加速している。特に、送金大手のリップル社との連携が強化されることで、国際決済ネットワークにおけるXRPの地位が高まる可能性がある。

このように、XRPの成長には技術的な進化、規制の明確化、市場の環境変化という3つの要因が絡み合っている。今後、これらの要素がどのように相互作用するかが、XRPの時価総額がイーサリアムを超えるかどうかの鍵を握ることになる。

XRPがETHを超えるための現実的なハードル—市場の壁と競争環境

XRPが時価総額でイーサリアムを超えるには、いくつかの重要なハードルをクリアする必要がある。現在の市場構造を考えると、イーサリアムの優位性を崩すのは容易ではない。

まず、イーサリアムはスマートコントラクトを活用した分散型アプリケーション(dApps)の分野で圧倒的なシェアを誇る。これに対し、XRPの主要な用途は主に国際送金や決済に特化しており、直接的な競争相手とは言えない。しかし、近年XRPレジャーがスマートコントラクト機能を強化し、トークン化された資産(RWA)市場への進出を進めることで、イーサリアムの領域に足を踏み入れつつある。この戦略が成功すれば、XRPのユースケースが拡大し、時価総額にも影響を与える可能性がある。

また、イーサリアムはDeFi(分散型金融)市場の基盤としても確固たる地位を築いている。現在、多くのDeFiプロジェクトがイーサリアム上で運営されており、エコシステムの規模は圧倒的だ。XRPがこの分野で競争するには、より多くの開発者がXRPレジャーを利用するようになる必要がある。現在、XRPL上でのDeFiプロジェクトの数は増加傾向にあるものの、まだイーサリアムには及ばない。

さらに、XRPが時価総額でETHを超えるためには、価格が現在の3ドル台から少なくとも6.83ドルへと上昇する必要がある。これは現時点の水準から115.5%の上昇を意味し、短期間での達成は容易ではない。市場全体の動向や、XRPの流動性、機関投資家の動向が大きく影響するため、楽観的な見方だけでは不十分だ。

加えて、仮想通貨市場全体のボラティリティもXRPの成長に影響を与える要因となる。特に、米国の金融政策や規制の変化が市場全体の動きを左右するため、XRP単独での急成長は難しい局面もある。イーサリアムが現在の価格を維持する限り、XRPが時価総額で上回るには想定以上の成長が求められる。

このように、XRPがETHを超えるためには、既存市場の強固な壁を乗り越え、新たなユースケースの確立や開発者の参入促進が不可欠となる。市場環境や技術進化の動向が今後の成長を左右するだろう。

Source:ZyCrypto