ドナルド・トランプ前大統領は、カナダに対する25%の追加関税を30日間一時停止すると発表した。これを受け、暗号資産市場ではイーサリアム(ETH)とソラナ(SOL)が急速な回復を見せた。イーサリアムは一時2,135ドルまで下落した後、2,881ドルまで反発。ソラナも日中最安値の190ドルから216ドルに上昇した。専門家は、関税一時停止が市場の不安を和らげ、暗号資産の買い材料となった可能性を指摘している。

しかし、地政学的な緊張や市場の変動性は依然として高く、投資家は慎重な姿勢を維持する必要がある。

トランプ前大統領の関税戦略と暗号資産市場への影響

ドナルド・トランプ前大統領は、カナダに対する関税を30日間一時停止すると発表した。これにより、暗号資産市場が敏感に反応し、Ethereum(ETH)やSolana(SOL)が急反発した。トランプ氏は以前から貿易政策を通じて市場に影響を与えており、今回の決定もその延長線上にある。

米国の対外貿易政策は金融市場と密接に関わっている。特に関税の動向は、企業のコスト構造や投資判断に影響を与えるため、金融資産全般の価格変動を引き起こす要因となる。今回のカナダへの関税一時停止は、北米の貿易環境を安定化させるとの見方が広がり、市場の不安心理が和らいだと考えられる。

また、暗号資産市場は従来から政治的な動きに敏感に反応する特徴を持つ。特にトランプ氏は暗号資産に対して過去に批判的な発言をしており、彼の発言や政策の変化は市場のボラティリティを高める要因となり得る。今回の決定により、EthereumやSolanaの買い戻しが進んだ背景には、市場のリスク回避姿勢が一時的に緩和された側面もある。

EthereumとSolanaの価格回復の背景と市場の動向

Ethereum(ETH)とSolana(SOL)の急落と反発の動きは、暗号資産市場全体の動向を象徴する出来事となった。特にEthereumは一時2,135ドルまで下落し、その後2,881ドルまで回復するなど、大きな変動を見せた。一方、Solanaは日中最安値の190ドルから216ドルへと回復し、そのパフォーマンスの強さが市場関係者の注目を集めた。

Ethereumの急落の要因としては、米国市場での先物ポジションの大量清算が挙げられる。Decryptの報道によれば、Ethereumの先物市場では600億ドル以上のポジションが一掃される事態となり、市場全体のセンチメントが悪化した。この影響で、短期的な投げ売りが発生し、一時的な価格の急落につながったと見られる。

しかし、その後の急回復はSolanaのパフォーマンスによる影響も大きい。Solanaはミームコイン取引やDeFi分野での活用が進んでおり、価格回復が比較的速かった。GeckoTerminalのデータによると、Solanaの取引量は27%増加しており、これが市場の回復を後押しした可能性がある。また、Presto Researchのミン・ジョン氏によれば、今回の市場回復ではSolanaやXRPが先導したとされ、これらの銘柄が依然として市場の注目を集めていることが分かる。

トランプ家の暗号資産市場への関与と影響

トランプ前大統領の関税政策の影響だけでなく、トランプ家の動向も市場に影響を及ぼしている。特にエリック・トランプ氏のEthereumに関するSNS投稿や、トランプ家が支援する分散型金融プロジェクト「World Liberty Finance」の資金移動が注目を集めた。

エリック・トランプ氏はX(旧Twitter)で「ETHを買い増すには絶好のタイミングだ」と発言し、その直後にEthereumの価格が強く反発した。この投稿には編集履歴があり、元々「あとで感謝してくれていい」との文言が含まれていたが、後に削除されたことが判明している。SNS上の発言が市場に与える影響の大きさが改めて浮き彫りになった。

さらに、トランプ家が支援するWorld Liberty Financeは、暗号資産市場における資金移動を活発化させている。米東部時間午後3時頃に、同プロジェクトのGnosis Safe Proxyを通じて6,000万ドル以上の資金移動が確認された。Ethereumが5,569万ドル、USDCが500万ドルという内訳であり、大部分がCoinbase Primeの預金アカウントに送られている。

このような大規模な資金移動は、暗号資産市場において特定の勢力が価格に影響を与えている可能性を示唆する。トランプ家の関与が今後も続く場合、EthereumやSolanaをはじめとする暗号資産市場の変動要因として重要なファクターとなるだろう。

Source:Decrypt