XRP Ledger（XRPL）は、新たな改正「NFTokenMintOffer」をメインネットに導入した。この改正により、ユーザーはNFT（非代替性トークン）のミントと販売オファーの作成を単一のトランザクションで行うことが可能となり、手数料の削減と取引プロセスの効率化が期待される。この提案は、35人のバリデーターのうち31人の賛成を得て、88.57%の支持率で承認された。

また、Ripple社は米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」の市場拡大を目指し、フィンテック企業Revolutや暗号資産サービスプロバイダーZero Hashと提携した。これにより、RLUSDはXRPLおよびEthereumネットワーク上で利用可能となり、国際的な資金移動の効率化が期待される。これらの動きは、XRPLのエコシステムの拡大とユーザー体験の向上に寄与すると考えられる。

NFTokenMintOffer改正がもたらす技術的変化と市場への影響

今回のNFTokenMintOffer改正は、XRP Ledger（XRPL）におけるNFT取引の効率化を目的としている。従来、NFTをミント（作成）した後、販売オファーを別途設定する必要があったが、この改正により一度のトランザクションで両方の処理が可能となった。これにより、ユーザーの操作回数が減少し、ネットワークのトランザクション負荷も軽減される。

また、今回の改正では「Amount（価格）」「Destination（送信先）」「Expiration（有効期限）」の3つのフィールドが追加され、NFT取引の透明性と利便性が向上した。特に、Expirationの導入は、販売オファーの有効期間を明確にし、流動性の向上に寄与すると考えられる。これにより、NFT市場のダイナミズムが高まり、より多くの取引がXRPL上で実行される可能性がある。

さらに、NFTokenMintOfferの実装は、NFT市場における競争環境にも影響を与える。EthereumやSolanaなどの競合ブロックチェーンでは、すでに類似の機能が導入されているが、XRPLの低コストかつ高速なトランザクション処理能力と相まって、NFT関連のプロジェクトがXRPLへ移行する動きも想定される。今回の改正は、XRPLがNFT市場における競争力を強化する一歩となるだろう。

XRPLの改正がエコシステムの進化を加速させる理由

XRPLは、今回のNFTokenMintOffer改正だけでなく、近年さまざまな技術的改良を実施している。例えば、2024年4月に導入された「fixNFTokenReserve」改正では、NFTトランザクションのオーナーシップ管理を改善し、適正なリザーブ要件の適用を可能にした。これにより、NFT関連の取引がより安全かつ効率的に実行できる環境が整った。

また、「fixAMMOverflowOffer」改正では、支払いエンジン内で発生する可能性があった大規模オファーの処理ミスを修正し、安定した取引環境を提供している。これらの改正は、XRPLの拡張性と持続可能性を確保するうえで重要な役割を果たしている。

加えて、「Clawback」改正の導入により、不正取引や誤った送金の取り消しが可能となり、企業や機関投資家がXRPLを活用する際のリスク管理が強化された。この機能は、中央集権型の金融システムと同様の安全策を提供し、規制遵守の強化にも寄与すると考えられる。これらの改正の積み重ねにより、XRPLのエコシステムは今後も進化し、より多くのユースケースに対応できるプラットフォームへと成長していくことが期待される。

ステーブルコインRLUSDがXRPLの発展を後押しする可能性

XRPLの発展は、技術的な改正だけでなく、ステーブルコインRLUSDの活用拡大によっても促進されている。Ripple社が発行するRLUSDは、米ドルに連動した価値を持ち、決済や送金の安定性を提供することを目的としている。このステーブルコインは、すでにRevolutやZero Hashといったフィンテック企業のプラットフォームに統合されており、XRPLの実用性を強化する要因の一つとなっている。

RLUSDの導入により、XRPLを活用した国際送金の効率化が進むことが期待される。従来の金融システムでは、クロスボーダー決済には数日を要することが一般的だが、XRPL上のRLUSDを活用すれば、数秒以内に低コストで取引を完了できる可能性がある。これにより、企業間決済や個人の送金ニーズが高まり、XRPLのトランザクション数も増加することが考えられる。

さらに、RLUSDは現実資産（RWA）のトークン化にも関与しており、不動産や債券といった資産をブロックチェーン上で取引可能にする動きが進んでいる。XRPLの強固なインフラと組み合わせることで、RWA市場における新たなビジネス機会が創出される可能性がある。今後、RLUSDを活用したユースケースの増加がXRPLの成長を後押しし、ブロックチェーン市場全体に影響を与える展開も予想される。

Source：CoinGape