ビットコインが86,000ドルの重要なサポート水準に迫っている。Cryptoquantの最新レポートは、需要の低迷と市場流動性の悪化が下落圧力を強めていると指摘する。2024年後半の米国選挙後の急騰以降、ETFの資金流入は反転し、2024年11月初旬の1日あたり+18,000 BTCから-1,000 BTCに急減。さらに、ステーブルコイン市場の成長率も92%減少し、暗号市場全体の買い支えが弱まっている。

こうした環境下で、米国取引所における現物需要も急低下しており、Coinbaseへの送金は90日移動平均を下回る水準に落ち込んだ。ビットコインネットワーク活動指数も2021年7月以来初めて365日移動平均を下回り、ユーザーの取引意欲の低迷を示している。Cryptoquantは、このまま需給環境が改善されなければ、86,000ドルの防衛線を割り込むリスクが高まると警鐘を鳴らしている。

ビットコイン需要の崩落とETF資金流入の反転

ビットコイン市場における需要の減退は、ETF資金流入の急減と密接に関連している。Cryptoquantのレポートによれば、2024年11月初旬には1日あたり+18,000 BTCの資金がETFに流入していたが、2025年2月時点では-1,000 BTCと流出に転じた。この動きは、ビットコイン価格の下落と同時期に発生しており、機関投資家のリスク回避姿勢を映し出している。

特に注目すべきは、グレースケールのGBTCを除いたETFの保有量が停滞している点だ。2024年後半の米国選挙後に高まった市場の期待感は薄れ、インフレ懸念や潜在的な輸入関税への警戒が投資意欲を冷え込ませている。また、FTX債権者への返済に伴う売り圧力も無視できない要因だ。

この状況は、ビットコインの需要が一時的なセンチメントによって左右されやすいことを示唆している。長期的な上昇基調を維持するには、ETF経由での安定的な資金流入が再び活発化する必要があるだろう。

ネットワーク活動の低迷と市場心理の変化

ビットコインのネットワーク活動は、2024年末をピークに減速し続けている。Cryptoquantの「ビットコインネットワーク活動指数」は2024年11月の3,658から17%低下し、2021年7月以来初めて365日移動平均を下回った。この指数はアクティブアドレス数や取引量を基に算出されるものであり、現状はユーザーの参加意欲が低下していることを如実に示している。

この活動低迷の背景には、価格下落に伴う市場の弱気心理がある。ビットコイン価格の安定にはネットワークの活発な利用が不可欠だが、現状では市場参加者が慎重姿勢を強め、取引を控える動きが目立つ。

ネットワーク活動の減少は単なる技術的指標の悪化にとどまらない。過去のデータから見ても、ネットワークの活発化と価格の上昇は密接に連動しており、この低迷が続く限り、価格の回復は難しいだろう。

ステーブルコイン市場の縮小と流動性のさらなる悪化

ステーブルコイン市場の停滞も、ビットコインの下落リスクを高める要因となっている。Cryptoquantのレポートによれば、2024年12月の204億ドルから2025年2月には15億ドルへと92%も急減しており、暗号市場全体の流動性拡大が鈍化していることが分かる。

ステーブルコインは暗号市場における「現金」として機能し、ビットコイン購入の主要な資金源となる。したがって、その成長率の低下は買い圧力の減少を意味し、価格の下落を加速させる可能性が高い。特に、機関投資家はステーブルコインを活用して効率的に市場参加する傾向があり、その動きが鈍ることは市場全体の流動性をさらに弱めることになる。

こうした状況下では、ビットコインの86,000ドルという重要なサポートラインが試されることになるだろう。ステーブルコイン市場の回復がない限り、価格の持続的な上昇は難しいと考えられる。

Source:Bitcoin News