ビットコイン(BTC)は2月の市場下落を受け、90,000ドルを割り込む展開が続いている。投資家の不安が高まる中、大口投資家(クジラ)の取引支配率が96%に達し、市場への影響が一層強まっている。

アナリストのアクセル・アドラー氏によれば、取引所での大口売却が増加傾向にあり、昨年12月の94%からさらに上昇。この動きは、過去2か月間にわたるクジラの売却が加速していることを示唆する。

短期的な相場の方向性は不透明だが、90,000ドルを巡る攻防が今後の市場動向を左右する重要なポイントとなる。市場心理が弱気に傾く中、投資家は次の展開を慎重に見極める局面に直面している。

ビットコインのクジラ支配率が96%に上昇 市場の流動性は低下へ

ビットコイン市場におけるクジラ(大口投資家)の取引支配率が96%に達し、過去2か月間でさらに上昇している。アナリストのアクセル・アドラー氏は、この変化が市場全体の流動性低下と直結していると指摘する。

取引所における上位10件の大口取引が市場全体の96%を占めるという状況は、一般の市場参加者の影響力が低下していることを示唆する。これは、ビットコインの売買が一部の資本力のあるプレイヤーに依存する形になっていることを意味する。実際、2024年12月時点ではこの支配率が94%であったが、2か月間で2ポイント上昇したことで、クジラによる市場支配の傾向が一層顕著となった。

こうした状況が続く場合、個人や中規模のプレイヤーの売買による価格変動の影響は小さくなり、クジラの動向が価格の方向性を決めることになる可能性が高い。特に、彼らの売却が加速すれば、市場における売り圧力が増し、価格が大きく下落する要因となる。逆に、クジラが買いに転じれば、大幅な上昇もあり得る。

市場の流動性が低下すると、価格の急変動が発生しやすくなる。現在の90,000ドル割れの状況下では、売り手と買い手のバランスが不安定になり、さらなるボラティリティの上昇が懸念される。短期的にはクジラの売却動向がカギを握るが、市場全体の回復には、新規資金の流入が不可欠といえる。

90,000ドル割れが意味するもの 重要なサポートラインの崩壊

ビットコインは現在、90,000ドルを下回る水準で取引されており、この価格帯の攻防が今後の市場動向を左右する要因となっている。アナリストの間では、90,000ドルは心理的な節目であると同時に、テクニカル的にも重要なサポートラインであるとの見方が強い。

この水準は、過去の取引データにおいて何度も反発を見せたポイントであり、市場参加者にとっての信頼感が高いエリアだった。しかし、2月に入ってからの売り圧力の増加により、このラインが突破されたことで、市場心理はさらに弱気へと傾いている。

特に、クジラによる大口売却が進む中でこの価格帯が崩れたことは、単なる一時的な下落ではなく、より長期的な調整局面に入る可能性を示唆するものだ。次の下値目安としては、86,000ドルや82,000ドルといった水準が考えられる。これらの水準を下抜けると、市場全体がより深刻な下落トレンドに入る恐れがある。

一方で、強気派は依然として90,000ドル回復を目指しており、この水準を取り戻すことができれば、短期的な市場の安定につながる可能性もある。特に95,000ドルを突破できれば、再び100,000ドルへの上昇シナリオが現実味を帯びるだろう。今後数週間の値動きが、長期的な方向性を決定する重要な局面となる。

クジラの売却加速は一時的か 反発のシナリオも

大口投資家の売却が続く中、ビットコイン市場の不安定な状況が続いている。しかし、すべてのアナリストが悲観的な見方をしているわけではない。現在の売り圧力は、一時的な調整局面の一環であり、将来的には再び上昇基調に戻る可能性も指摘されている。

アナリストの間では、過去のサイクルと比較して、今回の売り圧力が異常に高いわけではないとの意見もある。特に、ハッキング事件や米国におけるビットコイン関連の規制強化などのネガティブニュースが相次いでいる影響で、一時的なパニック売りが発生している可能性もある。

さらに、ビットコインは長期的には強気相場が継続すると見る向きも多い。歴史的に見ても、急落の後には力強い回復が見られることが多く、現在の状況もその一環である可能性がある。特に、2024年後半には新たな機関投資家の参入やETF市場の拡大といったポジティブ要因が控えている。

短期的にはクジラの動向が価格のカギを握るが、より長期的な視点では、90,000ドル前後の価格帯が強固なサポートとして機能すれば、新たな上昇トレンドが生まれる可能性もある。現在の弱気ムードが続く中で、次の反発ポイントを見極めることが重要な局面となっている。

Source:Bitcoinist.com