ゲーム小売大手GameStopのCEOライアン・コーエン氏が、50億ドル規模のビットコイン購入提案を受けたことを明らかにした。この提案を行ったのはStrive Asset Managementであり、GameStopの財務戦略の一環としてビットコインを準備資産に組み込む可能性を示唆している。
GameStopは過去にも暗号資産関連の取り組みを進めており、NFTマーケットプレイスの開設やEthereum基盤のLayer 2技術を活用したプロジェクトに参画してきた。しかし、株価は年初来で22%下落しており、新たな戦略が求められる状況だ。
ビットコイン市場は直近で大幅な調整を見せており、1月の最高値109,000ドルから約23%下落している。GameStopの新戦略が同社の財務基盤にどのような影響を与えるのか、注目が集まる。
GameStopが直面する経営課題とビットコイン導入の可能性

GameStopは過去数年間で経営環境の急激な変化に直面している。2021年の「ミーム株」ブームによって市場の注目を集めたが、その後の株価は下落傾向にあり、年初来で22%減少した。この背景には、小売業のデジタル化の加速と、競争の激化がある。
このような状況下で、GameStopは新たな収益源の確保を模索しており、その一環としてビットコインを準備資産とする提案が浮上した。Strive Asset Managementは、この動きがGameStopの財務基盤を強化し、デジタル資産市場の成長を活用する好機であると指摘している。しかし、ビットコインの価格変動リスクを考慮すると、財務的な安定性とのバランスが課題となる。
企業が準備資産としてビットコインを採用するケースは増加しており、代表例としてMicroStrategyが挙げられる。同社は数千億円規模のビットコインを保有し、株価にも影響を与えている。この動きがGameStopの経営戦略にどのような影響をもたらすのか、市場の関心が高まっている。
GameStopの暗号資産戦略と過去の取り組み
GameStopは過去にも暗号資産市場に参入しており、2022年にはNFT関連事業を展開した。同社は自己管理型の暗号資産ウォレットを提供し、ユーザーがNFTを取引できる環境を整備した。この取り組みはEthereum基盤のLayer 2ソリューションであるLoopringを活用し、低コストかつ迅速な取引を可能にするものだった。
さらに、Immutable Xと提携し、NFTマーケットプレイスを構築した。Immutable Xはガス代不要の取引を可能にするLayer 2スケーリング技術を提供し、GameStopのNFT事業をサポートしている。しかし、NFT市場の成長鈍化に伴い、同社の取り組みが期待通りの成果を上げたとは言い難い。
このように、GameStopはすでに暗号資産市場に関与しており、ビットコインを準備資産とする提案も同じ方向性に沿ったものといえる。ただし、NFT市場とビットコイン市場は異なる性質を持っており、特にビットコインはボラティリティが高い資産であるため、企業の財務戦略として適切かどうかは慎重な判断が求められる。
ビットコインの市場動向とGameStopの財務戦略
GameStopがビットコインを準備資産とする場合、市場の価格動向が財務に大きく影響を与えることになる。現在、ビットコインは1月に記録した109,000ドルの最高値から約23%下落し、84,370ドルまで調整が進んでいる。過去にもビットコインは急激な価格変動を経験しており、GameStopのような小売業がこのリスクをどのように管理するかが鍵となる。
市場アナリストのルーク・ブロイルズ氏は、GameStopが50億ドルの資産をビットコインに換え、さらに11万ドルの価格帯で30億ドルを調達すれば、約84,090BTCを保有できる可能性があると指摘している。これは、企業としての金融資産の大規模な転換となり、株主の意向や市場の反応が重要な要素となる。
一方で、ビットコインを準備資産とすることは、法的および規制面での課題も伴う。特に、暗号資産に関する会計基準や税制の変化がGameStopの財務報告に影響を及ぼす可能性があり、慎重な計画が必要となる。GameStopがこの提案をどのように受け入れるのか、その決断が今後の市場動向に影響を与えることは間違いない。
Source:Bitcoinist.com