ドナルド・トランプ前大統領がカナダ、メキシコからの輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の追加関税を課す大統領令に署名した。
この発表を受け、ビットコインは一時96,879ドルまで下落し、過去1日で5%以上、過去1週間で8%の下落となった。他の主要な暗号資産も同様に値を下げており、イーサリアム(ETH)は10%下落し2,940ドル、XRPは15%急落し2.54ドルとなった。トランプ氏の関税措置がリスク資産への投資意欲を減退させた可能性があり、暗号資産市場全体に影響を及ぼしていると考えられる。
暗号資産市場に走った衝撃、関税政策が引き起こした売り圧力
トランプ前大統領が発表した関税政策は、暗号資産市場に対して短期間で大きな影響を及ぼした。ビットコインは96,879ドルまで下落し、1日で5%以上、1週間で8%の値下がりを記録したが、それ以上に急落したのはアルトコイン市場である。SolanaのSOL、XRP、ドージコイン(DOGE)などが軒並み10%以上の下落となり、市場全体の不安心理を強めた。
特にSolanaの下落は顕著であり、12%の下落により200ドルを下回った。Solanaはトランプ氏のミームコイン「TRUMP」をホストしていることから、政治的な影響を受けやすいという特徴を持つ。トランプ氏がSNS「Truth Social」で自身の関税政策を正当化する発言を投稿したことで、市場の懸念はさらに増幅された。
また、仮想通貨市場全体では、過去24時間で9億ドル以上のポジションが清算された。特にビットコインの先物市場では、1億8,000万ドル以上の清算が発生し、これがさらなる売り圧力につながったと考えられる。市場はすでに弱気基調にあり、今回の貿易戦争による追加関税が、リスク資産としての暗号資産に対する投資意欲をさらに削いだ形となった。
関税と仮想通貨市場の関係、リスク資産の選好が影響
トランプ氏の関税政策が暗号資産市場に影響を与えた理由のひとつは、投資家のリスク選好の変化である。関税引き上げは企業の利益を圧迫し、世界経済の減速懸念を強める要因となる。これにより、投資家はリスクの高い資産を手放し、安全資産に資金を移す傾向が強まる。
暗号資産はその価格変動の大きさから、ハイリスク・ハイリターンの資産と見なされており、市場の不確実性が高まると真っ先に売却されるケースが多い。今回の関税政策発表直後、金価格は上昇し、米国債の利回りも一時的に低下した。これらは投資家が安全資産へ資金を移した証拠ともいえる。
さらに、貿易戦争が長引けば、株式市場や暗号資産市場の下落圧力は継続すると考えられる。過去にも米中貿易戦争が激化した際、暗号資産市場は大きく下落した経緯があり、今回の状況と類似している。今後の市場動向を占う上で、関税政策の行方と、各国の対応が重要な要素となることは間違いない。
トランプミームコイン「TRUMP」の暴落が示す市場心理
今回の関税政策による市場の影響は、トランプ前大統領が関連するミームコイン「TRUMP」にも及んだ。Solanaベースのこのトークンは、トランプ氏がSNSで投稿を行った翌日に19.09ドルまで下落し、新政権発足以来の最安値を記録した。これは単なるミームコインの価格変動ではなく、市場心理を反映する重要な指標の一つといえる。
トランプ氏がSNSで「アメリカ人には『痛み』が訪れるかもしれない」と投稿したことで、市場の不安がさらに強まった。彼の発言はこれまでも市場に影響を与えており、特に彼に関連する金融商品や暗号資産は、彼の発言次第で大きく値動きをする傾向がある。今回の暴落もまた、関税政策の影響を受けた市場心理が、トランプ氏関連の資産に対する売り圧力を強めた結果といえる。
このように、政治的な出来事が暗号資産市場に与える影響は決して小さくない。特にSolanaやXRPのようなアルトコインは流動性が高く、ビットコイン以上に市場のセンチメントに敏感である。今後もトランプ氏の発言や政策の行方が、暗号資産市場に波及する可能性が高く、注意が必要な状況が続く。
Source:Bitcoinist.com