ビットコイン(BTC)が3月2日に10%上昇し、94,003ドルに達した。これにより、2月の急落で陥った「テクニカル・ベアマーケット」から脱出した形となる。

市場全体もこれに追随し、XRPは37%以上上昇し2.94ドル、イーサリアム(ETH)は13%以上上昇し2,504ドル、ソラナ(SOL)も23%以上の伸びを見せた。

2月の市場低迷は、トランプ政権の暗号資産政策への不透明感や世界経済の不安定さが影響していたが、3月の上昇が今後の回復トレンドにつながるか注目される。

ビットコインがテクニカル・ベアマーケットから回復 2月の下落を振り返る

ビットコインは3月に入り10%上昇し、テクニカル・ベアマーケットを脱した。だが、2月の急落は市場に大きな影響を及ぼした。2月28日には一時78,867ドルまで下落し、前月の最高値109,021ドルから21%以上の下落を記録。これは、2022年6月以来の最大の月間下落率であり、当時はテラ・ルナ崩壊が市場を直撃していた。

この急落の背景には、米国の経済政策の不透明感や金融市場の動揺がある。ドナルド・トランプ氏の再選に伴う暗号資産への期待が一時的に高まったものの、具体的な政策の進展が見えず、市場は慎重な姿勢を強めた。また、ウォール街の株価下落や米ドルの弱含みも影響を与え、リスク資産としてのビットコインは売られる展開となった。

暗号資産取引所Bybitのハッキング被害も2月の市場センチメントを悪化させた要因の一つだ。約15億ドル相当の資産が流出し、セキュリティリスクに対する警戒感が高まった。このような状況下で、3月の反発が持続的な回復につながるのか、市場の動向が注視されている。

トランプ政権の暗号資産政策 期待と現実のギャップ

トランプ氏は大統領選挙中、暗号資産への支持を公言し、米国を「ビットコインマイニングの超大国」にすると約束した。さらに、国家のBTC備蓄を増やし、戦略的ビットコイン準備金の創設を提案するなど、業界寄りの政策を打ち出した。しかし、2月の下落を通じて、市場はこれらの公約に慎重な見方を強めている。

実際、トランプ政権発足後も暗号資産業界への規制は不透明なままだ。SEC(米証券取引委員会)がコインベースに対する証券法違反訴訟を取り下げるなど、規制緩和の兆しもあるが、一方で業界が直面する銀行口座閉鎖(デバンキング)問題は依然として解決されていない。Custodia BankのCEO、ケイトリン・ロング氏は「連邦銀行機関の反暗号資産的なガイダンスは撤回されていない」と指摘し、政策の実効性には疑問が残る。

市場関係者の間では、トランプ政権が具体的な暗号資産政策を打ち出さない限り、ビットコインの上昇は限定的との見方もある。CF Benchmarksの調査責任者ゲイブ・セルビー氏は「市場が明確な方向性を得るには、規制の枠組みやETF承認といった具体的な材料が必要だ」と述べており、現時点では期待と現実のギャップが埋まっていないのが実情だ。

ビットコインは50万ドルへ向かうのか 市場の長期的展望

短期的には不安定な動きが続くビットコインだが、長期的な展望に関しては強気の見方もある。スタンダード・チャータード銀行のアナリスト、ジェフ・ケンドリック氏は「トランプの2期目の終わりまでにビットコインは50万ドルに到達する可能性がある」と予測。これが実現すれば、現在の水準から約5倍の上昇となる。

この予測の背景には、機関投資家の参入やETF市場の拡大がある。特に、米国のビットコイン現物ETFの成功が市場に資金流入をもたらし、価格を押し上げる可能性が指摘されている。また、ビットコインの供給量が限られていることから、半減期後の需給バランスの変化が価格上昇を促す要因となる。

ただし、短期的には経済状況や規制の動向が影響を与えるため、一方的な上昇は期待しにくい。現在の市場環境では、金利動向や米国の金融政策が重要な指標となる。特に、米国がさらなる貿易戦争に突入するリスクや、景気後退の懸念が高まれば、ビットコインを含むリスク資産全般が売られる展開も考えられる。長期的な成長を見据えつつも、短期の変動リスクを考慮する必要があるだろう。

Source:CryptoSlate