シルクロード創設者であるロス・ウルブリヒトに対する寄付金が、仮想通貨コミュニティから急増している。恩赦を受けたウルブリヒトへの支援活動「FreeRoss.org」にはビットコインをはじめとする仮想通貨が次々と送られており、特に仮想通貨取引所クラーケンからの11万ドル以上の寄付が注目される。
一方で、彼が過去に保有していたとされる約4700万ドル相当のビットコインが関連ウォレットに眠ったままである可能性も浮上している。このウォレットは13年以上取引がないとされるが、所有者がアクセス可能かどうかは不明である。仮にこれがウルブリヒト本人のものであった場合、寄付の必要性や資金の行方に新たな疑問が生じている。
ウルブリヒト関連ウォレットに眠る4700万ドルの行方
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シルクロード創設者ロス・ウルブリヒトに関連するウォレットが保有する4700万ドル相当のビットコインは、現在も未使用の状態にあるとされる。仮想通貨取引所コインベースのコナー・グロガンがX(旧Twitter)で発表した調査結果によると、これらのウォレットは13年以上取引が行われていないという。特に「1CQv」で始まるウォレットを含むクラスターは900万ドル以上を保有していることが確認されている。
しかし、これらのウォレットがウルブリヒト本人に直接結びつくかどうかは確認されておらず、Decryptによれば、その一部は2020年に米国政府によって押収された可能性がある。また、シルクロード関連の多くのビットコインは、ハッキングや紛失などの理由でアクセス不能となっているとも指摘されている。このようなウォレットがビットコインの供給量に及ぼす影響は大きく、全体の約20%が事実上失われた資産と推測されている。
この背景には、仮想通貨市場の初期段階で行われた取引や、それに付随するセキュリティ問題がある。ウォレットの所有者が鍵を紛失した場合、これらの資産は永久に回収不能となり、資産価値が理論的には無意味になる。この状況は、仮想通貨の分散性の強さと同時にリスクの高さを象徴していると言えよう。
仮想通貨コミュニティの支援と寄付の高まり
ウルブリヒトへの仮想通貨寄付は、彼が連邦刑務所から解放されるや否や急増した。「FreeRoss.org」の活動を支えるこの動きは、彼がシルクロード創設者として築いたビットコイン初期の象徴的存在感が未だに健在であることを物語っている。仮想通貨取引所クラーケンが提供した111,111ドル相当のビットコイン寄付は、この支援の最も顕著な例である。
また、アーカム・インテリジェンスの報告によると、ウルブリヒトのウォレットアドレスには2.62BTC(約27万ドル)以上が寄付されている。この寄付には、ビットコインだけでなくイーサリアムやUSDCなど他の主要な仮想通貨も含まれている点が興味深い。これにより、彼を支持するコミュニティが多様な仮想通貨の利用者で構成されていることが示唆される。
このような寄付行動は、単なる資金提供に留まらず、仮想通貨コミュニティ全体の団結や思想的な支持を表現するものとも言える。しかし一方で、このような支援が司法的な懸念を引き起こす可能性も否めない。特にシルクロード関連の資産が引き続き捜査対象である以上、これらの寄付がどのような形で利用されるかは注視する必要があるだろう。
シルクロード閉鎖後も続く資産の行方と課題
2013年に連邦捜査局(FBI)によって閉鎖されたシルクロードは、仮想通貨の初期利用例として知られるが、その資産の多くが未だ行方不明のままである。FBIの記録によれば、閉鎖当時に押収されたのは約17万BTCであり、当時の価値で3,360万ドル相当に過ぎない。一方、研究者らはさらに44万BTC以上が未だに不明であると推測している。
この問題の背景には、分散型の仮想通貨が持つ匿名性や、システムの透明性に関する議論がある。特にビットコインのようなオープンなブロックチェーンであっても、ウォレットの持ち主を特定するのは非常に困難である。これにより、犯罪行為で得られた資産が追跡を免れるケースも多い。
現在、ウルブリヒト関連のウォレットが保有するビットコインが司法当局の監視対象となる可能性もあるが、これらの資産が押収可能か否かは、所有者が鍵を保持しているかどうかに依存する。また、押収手続きには複雑な法的要件が絡むため、即時の対応は難しいだろう。仮想通貨が持つ自由な取引性と規制の隙間が、今後の課題として浮上している。
Source:Decrypt