米連邦準備制度理事会(FRB)は、政策金利を4.25%~4.50%に据え置く決定を下した。これにより、ビットコインは一時的な下落の後、急騰し、3日ぶりの高値を記録した。FRB議長のジェローム・パウエル氏は、インフレの進展と労働市場の状況を考慮し、政策スタンスの急な調整は必要ないと述べた。

一方、トランプ前大統領は金利引き下げを求めていたが、FRBはこれに応じなかった。FRBの金融政策の動向は、仮想通貨市場やリスク資産に影響を与える可能性があるため、今後も注視が必要である。

FRBの慎重な姿勢と市場の反応

FRBは今回の政策決定で、利下げに慎重な姿勢を示した。インフレ率がピーク時の水準から低下しつつあるものの、依然として目標の2%を上回っており、労働市場も強さを維持している。これを踏まえ、ジェローム・パウエル議長は「政策スタンスを急いで調整する必要はない」と強調し、利下げに慎重な姿勢を貫いた。

この決定を受けて、ビットコイン市場は一時下落したものの、その後急騰した。これは、金融市場全体がFRBの政策継続を織り込んでいたため、大きなサプライズとはならなかったことが要因と考えられる。特に仮想通貨市場では、利下げが行われることで流動性が増し、価格上昇の追い風となるケースが多い。そのため、短期的な売り圧力の後、買い戻しが優勢となったとみられる。

市場関係者の中には、今回の決定が将来の金融政策に与える影響を慎重に見極めようとする動きもある。CME FedWatchによると、3月の利下げ確率は28%とされており、FRBが市場の期待に沿った政策を採るかどうかが今後の焦点となるだろう。

トランプの圧力とFRBの独立性

ドナルド・トランプ前大統領は、スイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)において、FRBに対して明確に金利引き下げを求めた。しかし、パウエル議長はこれについてのコメントを避け、FRBの独立性を強調する姿勢を崩さなかった。

トランプ氏は、選挙戦において経済成長を最優先事項と位置づけており、金融政策の方向性もその一環として影響を及ぼそうとしている可能性がある。特に「ユニバーサル関税」などの政策は、インフレ圧力を高める要因となる可能性が指摘されている。これにより、FRBがインフレ抑制と経済成長のバランスをどのように取るかが、今後の金融市場の大きな焦点となる。

一方で、FRBが政治的な圧力に影響を受けるかどうかについては意見が分かれる。歴史的に見ても、FRBは独立性を維持しながら政策決定を行ってきたが、政治的な影響力が増すと、利下げのタイミングが市場の期待と異なる可能性もある。特に、今年の大統領選挙を控え、金融政策が政治的要素と絡む場面が増えることが予想される。

Coinbaseの動きと仮想通貨市場の今後

仮想通貨取引所Coinbaseは、新たなアドバイザリー・カウンシルを設置し、そのメンバーとしてトランプ氏の選挙キャンペーン関係者を迎え入れた。これは、仮想通貨業界と政治との関係がより密接になりつつあることを示している。

特に、ウィリアム・ダドリー元ニューヨーク連銀総裁や、クリス・ラシヴィータ氏の加入は、Coinbaseが規制や政策決定に対してより積極的な影響力を持つ意図を示唆している。仮想通貨市場はこれまで規制強化の流れに直面してきたが、政治的なネットワークを強化することで業界の立場を有利にする狙いがあるとみられる。

また、トランプ氏のメディア企業であるTMTGが、新たに金融サービス部門を設立し、仮想通貨への関与を示唆している点も注目に値する。Truth.Fiの設立により、仮想通貨関連の金融商品が拡充される可能性があり、市場に新たな資金が流入する契機となるかもしれない。

今後の仮想通貨市場は、FRBの金融政策だけでなく、政治の影響も受けながら変動していくことが予想される。金融機関の対応や政府の規制の動向を注視することで、より明確な市場の方向性が見えてくるだろう。

Source:Decrypt