ビットコインは10万ドルの重要な心理的水準を回復できず、3週間以上にわたり強気派と弱気派の拮抗が続いている。価格は9万ドル台後半の需要ゾーンを維持しつつ、供給ゾーンを突破する勢いを欠いたまま横ばい推移を続けている。市場心理は不安定であり、次の方向性を模索する状況が続いている。

注目すべきは、Glassnodeが提供する短期保有者の支出利益率(STH-SOPR)の7日間移動平均が再び1.0の損益分岐点を試している点である。この水準を上回れば、強気トレンドへの転換を示唆し、10万ドル突破の可能性が高まる。一方、1.0を維持できなければ売り圧力が強まり、価格が需要ゾーンに押し戻される展開も視野に入る。

市場は依然として方向感を欠いており、今後数日の値動きがビットコイン相場の行方を左右する重要な局面を迎えている。

短期保有者利益率が示す市場の分岐点

Glassnodeのデータによると、ビットコインの短期保有者支出利益率(STH-SOPR)の7日間移動平均が再び1.0の水準に達している。これは短期的な売買活動における損益分岐点を示す重要な指標であり、1.0を上回る場合は利益確定売りの動きが強まりつつも、買い需要がその圧力を吸収していることを意味する。一方、1.0を下回れば、保有者が損失を受け入れて売却に走る傾向を示唆し、下落圧力が高まる。

過去のデータでは、STH-SOPRが1.0を超えて安定した際には、ビットコイン価格の上昇トレンドが鮮明になった事例が複数確認されている。特に2023年初頭の上昇局面では、この指標が1.0を突破した直後に価格が急伸し、10万ドルを超える上昇基調が形成された。逆に、2022年末の弱気相場では、1.0を下回った状態が続いた結果、8万ドル台への下落が見られた。

現状では、STH-SOPRが1.0付近で推移しており、ビットコイン価格の方向性は依然として不透明だ。指標が1.0を明確に上抜けし、その状態を維持できるかが次の価格動向を左右する。短期的な売買戦略を考える上で、この指標は重要なシグナルとなっている。

需給バランスが示唆する価格の臨界点

ビットコイン市場は現在、95,500ドル付近で推移し、需要ゾーンと供給ゾーンの間で膠着状態にある。需要ゾーンは94,000ドルから96,000ドルの範囲とされ、この水準を維持できれば強気派の反発が期待できるが、下方ブレイクが起これば9万ドル付近までの下落リスクが高まる状況だ。供給ゾーンは10万ドル前後に位置し、この心理的壁を突破できるかが次の上昇のカギを握る。

特に、強気派が供給ゾーンを突破するためには、出来高の増加と市場の楽観的なセンチメントが不可欠となる。1月上旬には短期間ながら10万ドルを超えた場面があったが、その後の出来高減少と利益確定売りの増加により、再び9万ドル台に押し戻された経緯がある。このことからも、需給バランスが市場の方向性を左右する重要な要素であることが読み取れる。

現在の狭い価格帯での推移は、いずれかの方向への強いブレイクアウトが差し迫っていることを示唆している。需要ゾーンを下抜ければ、さらなる下落リスクが現実化する一方、供給ゾーンを突破すれば新たな価格発見の局面に突入する可能性がある。市場参加者は今後の出来高とセンチメントの変化に注目すべき局面に直面している。

Source:Bitcoinist.com