ステーブルコイン最大手のテザー社は、2024年の純利益が130億ドルを超え、米一応の保有額も過去最高の1130億ドルに達したと報告しました。

ビットバンク同社のドル連動型コインテーブル「USDT」は、時価総額が1400億ドルを超え、仮想通貨市場での存在感を一層強めている。で機能させる計画を発表し、ビットコインエコシステムとの統合を進めている。

コインデスクジャパンこの動きにより、USDTの利用範囲が拡大し、仮想通貨市場における決済手段としての優位がさらに強固になると期待される。

テザーの利益構造と米国債の影響

テザーが2024年に記録した130億ドルの利益は、主に米国債の利回りによってもたらされた。米国債はリスクの低い安全資産として知られており、テザーが保有する大量の米国債は、同社のステーブルコイン「USDT」を裏付ける重要な資産となっている。米国の利上げ局面では、短期国債の金利が上昇し、テザーのような大規模な保有者にとっては大きな収益源となる。

2024年の米国債市場では、連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策が重要な影響を及ぼしている。FRBの金利政策が引き締め方向にある限り、テザーの利息収入は安定的に推移するとみられる。一方で、今後の金融緩和により金利が低下すれば、テザーの収益モデルにも影響が出る可能性がある。このように、テザーの収益は中央銀行の動向に密接に結びついており、単なる仮想通貨企業ではなく、国際金融市場の動きに直接関与する企業であることがわかる。

さらに、テザーが保有する米国債の規模は、ウォール街の大手金融機関と比較しても遜色ないレベルに達している。ゴールドマン・サックスやJPモルガンといった伝統的な金融機関と肩を並べるほどの資産運用を行っていることは、テザーの経済的影響力の大きさを示している。このような状況は、従来の金融機関と仮想通貨業界との境界線を曖昧にし、新たな金融の枠組みが形成されつつあることを示唆している。

USDTのビットコイン対応がもたらす影響

テザーは、USDTをビットコインの基盤レイヤーおよびライトニングネットワークに統合すると発表した。これにより、USDTはビットコインのエコシステム内でより迅速かつ低コストでの取引が可能になる。ライトニングネットワークは、ビットコインのトランザクション処理を効率化し、送金手数料を大幅に削減する技術であり、テザーがこのネットワークに参入することで、USDTの決済手段としての実用性が向上する。

この動きは、特にエルサルバドルのようなビットコインを法定通貨として採用した国々にとって重要な意味を持つ。USDTがライトニングネットワーク上で利用可能になれば、ビットコイン経済圏の拡大が期待され、より多くの国や地域で仮想通貨決済の普及が進む可能性がある。一方で、ステーブルコインの規制が厳格化する中、各国の金融当局がこの新たな統合をどのように評価するかが今後の焦点となる。

さらに、USDTのビットコイン対応は、既存のステーブルコイン市場にも影響を与える可能性がある。現在、ステーブルコイン市場ではUSDC(USDコイン)やDAIといった競合が存在するが、テザーがビットコインとの連携を強化することで、他のステーブルコインとの差別化を図ることができる。これにより、USDTの市場シェアはさらに拡大することが予想される。

テザーへの規制強化とその行方

テザーの急成長に伴い、規制当局の関心も高まっている。特に、米国の議会ではUSDTの規制強化に関する議論が活発化しており、政府がステーブルコインの準備金に対する監査を求める動きが見られる。米国の上院では、ハワード・ルトニック氏がテザーの準備金に対する監査の必要性を指摘しており、今後の政策動向に注目が集まっている。

現在、テザーの準備金の大部分は米国債で構成されているが、その保有額や管理体制に関する詳細な情報は開示されていない。従来、テザーは独立した監査法人による全面的な監査を受けておらず、規制当局からの透明性向上の要求が強まっている。この点において、今後の監査制度の強化がテザーのビジネスモデルに影響を与える可能性がある。

また、テザーの規制強化は、仮想通貨市場全体にも影響を及ぼす。ステーブルコインの利用は取引所やDeFi(分散型金融)市場で不可欠な要素となっており、USDTの取り扱いが厳格化されれば、市場全体の流動性にも変化が生じる。こうした規制の行方は、仮想通貨業界の発展にとって重要な要素となり、投資家や市場参加者にとっても注視すべきポイントとなる。

Source:Decrypt